「The 8 Show 極限のマネーショー」© 2024 Netflix,Inc.

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2024.7.17

俳優の覚悟見た 岡山天音「笑いのカイブツ」、石原さとみ「ミッシング」 勝田友巳

2024年も半分が過ぎ、映画館で配信で、たくさんの作品が公開されています。1年の折り返し点でちょっと立ち止まって、今年の秀作、話題作をおさらいしてみませんか。ひとシネマ執筆陣が、上半期の作品からお勧めの5本を選びました。

勝田友巳

勝田友巳

「笑いのカイブツ」(滝本憲吾監督)
「ゴッドランド/GODLAND」(フリーヌル・パルマソン監督)
「The 8 Show 極限のマネーショー」Netflixシリーズ(ハン・ジェリム監督)
「チャレンジャーズ」(ルカ・グァダニーノ監督)
「ミッシング」(吉田恵輔監督)


「笑いのカイブツ」©︎2023「笑いのカイブツ」製作委員会

良作、怪作が全方位に

順不同で選んでみたら、統一感なし。「笑いのカイブツ」「ミッシング」は、俳優が熱演したからっていい映画になるわけではないけれど、俳優の肉体なしに映画は成り立たないと改めて痛感。どちらも物語が引っ張っていく映画なのに、岡山天音、石原さとみを見ているだけで圧倒された。自分の血と肉を役に明け渡して自由にさせたような、迫力とすごみ。怖いくらいでした。

「ゴッドランド」はニヒルな人間観察が秀逸な奇作だったし、「チャレンジャーズ」はスポーツと倒錯した恋愛という相反するベクトルが一体化していた。

このところ鑑賞本数と時間が急増している配信作品では、シンプルな空間設計のセットを社会構造と重ね合わせ、個人の属する階層が偶然とか運とか本人の努力では克服できない理不尽な要因で決定づけられる現実の過酷さを説教臭くなく物語に象徴させた「The 8 Show」を一気見。

全方位的にいい作品があったなあと思ったものの、そういえばコメディーが見当たらない。いろいろとすっきりしないことの多い昨今、下半期は三谷幸喜監督の「スオミの話をしよう」が大笑いさせてくれると期待している。

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ライター
勝田友巳

勝田友巳

かつた・ともみ ひとシネマ編集長、毎日新聞学芸部専門記者。1965年生まれ。90年毎日新聞入社。学芸部で映画を担当し、毎日新聞で「シネマの週末」「映画のミカタ」、週刊エコノミストで「アートな時間」などを執筆。

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