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2024.6.14
「ディア・ファミリー」公開初日舞台あいさつ 大泉洋「背中を押してくれる映画」
「ディア・ファミリー」(毎日新聞社など製作委員会)が14日、全国公開され、東京・日比谷の映画館で舞台あいさつが行われた。父親の宣政役で主演した大泉洋、家族を演じた菅野美穂、福本莉子、川栄李奈、新井美羽、宣政を助ける研究医役の松村北斗と、月川翔監督が登壇した。
撮影は1年半前。大泉は「早く見てもらいたいと思っていたが、いざ送り出すと寂しい思いも。これからは観客が育てて」と呼びかけた。
モデルとなった家族の大切な思いを届けたい
実話の映画化。宣政は、難病の娘佳美を救おうと人工心臓の開発を始め、助けられないと分かってからも研究を続けて画期的なバルーンカテーテルを発明する。妻役の菅野は「モデルとなった家族の大切な思いを、多くの人に届けたかった。存命の人を演じる責任を感じ、特別な1本になった」と振り返った。佳美を演じた福本は「天国の佳美さんが喜んでくれたらうれしい」。月川監督は「実話の映画化にプレッシャーを感じていた。映画は見てもらって完成する。観客の顔を見るのはご褒美のよう」とホッとした様子だった。
せいいっぱい生きようとする佳美と、医療機器の開発に没頭する宣政を支えた家族の物語でもある。大泉は自身の家族について「自分も家族のためなら、やれることはなんでもすると思う」と言いつつ、「映画は最初の週末の成績が大事。両親は高齢だが、絶対見に行けと言うつもり」と笑わせた。
出演者は真面目なコメント。新井は「試写会で母親が見て、いい映画だったと言ってくれた。恩返しができたかな」。川栄も「存在を当たり前に思ってしまうけれど、大切に、感謝しなければいけないと思った」。松村は「映画は親から子への愛を描いているけれど、子どもも親にずっと生きていてもらいたいと思うものだと考えた」。
「命を救いたいという願いが重なって、息子は生きている」
バルーンカテーテルは現在も世界中で使われ、多くの命を救っている。4歳の息子が実際に助けられたという母親から寄せられたという手紙を、菅野が朗読した。「バルーンカテーテルにも、映画を届けてくれたことにも感謝したい。息子を助けたのは奇跡ではなく、命を救いたいという思いが重なったからだと思う」との内容に、大泉も「命がつながってよかった」と感激していた。
今回の舞台あいさつでも、菅野や松村との絶妙の掛け合いで観客を笑わせた大泉。最後に「娘を亡くした家族の話というより、何かに踏み出そうとする人、悩んでいる人の背中を強く押してくれる映画」と訴えた。