この1本:「花束みたいな恋をした」 心模様、視線の熱量で
「Woman」「anone」の坂元裕二脚本、映画「罪の声」も記憶に新しい土井裕泰監督とくれば、半ば品質保証付き銘柄。男女が出会い恋に落ちて別れるまでを、日記のように追う。手だれの2人によるボーイ・ミーツ・ガールのお手本のような作品だ。 大学生の麦(菅田将暉)と絹(有村架純)は終電を逃し、深夜の私鉄駅で出会う。音楽や文学の趣味が同じで意気投合、デートを重ねやがて一緒に住み始める。春が来て卒業するとそろって就職はせずフリーターになる。麦が生活の基盤を築こうと、イラストレーターの夢を棚上げして就職してから、少しずつ歯車がかみ合わなくなって……。 舞台は2015年から20年まで。「やりたくないこと...