時代の目:「港に灯がともる」 震災未体験世代の葛藤
阪神大震災から30年。震災直後の神戸に生まれた在日韓国人3世の女性とその家族の生きづらさを、当事者目線で切り取り、心の傷に寄り添う秀作である。 灯(あかり)(富田望生)は高校卒業後に就職するが、父(甲本雅裕)や母(麻生祐未)が何かにつけ話す震災当時の苦労話や家族の苦難の歴史にどう応じていいか分からず、いらだちと孤独を募らせていく。姉(伊藤万理華)が持ち出した日本国籍の取得をめぐり父と灯の確執はより深まり、灯は双極性障害(そううつ病)を発症してしまう。 震災を直接体験していない世代の葛藤に、焦点を当てた。人はいかに傷つき、その傷をどう受け入れるか。周囲の人たちにどのように癒やされていくか。人...