Sandra Huller
1978年4月29日 生まれ
俳優「関心領域」(2023年)「落下の解剖学」(2023年)「ありがとう、トニ・エルドマン」(2016年)
「落下の解剖学」 「関心領域」 「BELIEVE 日本バスケを諦めなかった男たち」 「ナイト・エージェント」 Netflixシリーズ 「ザ・クラウン」 Netflixシリーズ ザンドラ・ヒュラー主演2作 演技で見せきる素晴らしさ コラム「オンラインの森」を担当しているので、配信も含めた5本をチョイス。基準は鑑賞後に何かを感じ、それがその時だけのものではないもの、です。 劇場公開作は、くしくもザンドラ・ヒュラー主演作を2本選出。「落下の解剖学」はザンドラの演技と脚本で2.5時間を見せ切った素晴らしさ。フランスの法廷でのお作法なども興味深かった。「関心領域」はタイトル...
後藤恵子
2024.7.15
この悲劇から現代が始まった。忘れてはならない悲劇だ。忘れたら、またこの悲劇が繰り返されてしまう。この言葉を読んで、どんな悲劇、事件のことをお考えになったでしょうか? 現代史の起点としてのホロコースト 第二次世界大戦を想起する人が多いのではないかと思います。それでも、戦争の記憶には地域による違い、地域文脈性がつきまとうだけに、誰もがみな一致してこれだけはいけない、これは繰り返してはならない悲劇だと共通して訴える事件を選ぶことは容易ではありません。日本では広島と長崎への原爆投下を第一に挙げる方が多いと思いますが、その戦争への認識が決して世界どこでも共有されていないことは、前回取り上げた映画...
藤原帰一
2024.6.03
約80年前のポーランドでの、ルドルフ(クリスティアン・フリーデル)一家の物語です。彼らが住むのは、厳しい冬の寒さから守ってくれる暖房完備の立派な2階建ての家。夏には花が咲き誇る広い庭のプールで泳ぐこともできます。そんな一家に大きな変化が訪れたのは、夫の転勤がきっかけ。4年間住み続けた素晴らしい環境の家を離れることを拒む妻ヘートヴィヒ(ザンドラ・ヒュラー)は、子どもたちとここに残ると言い張ります。と、今も日本のどこかで起きているホームドラマのような筋書きですが、違うのはルドルフがアウシュビッツ強制収容所の所長だということ。そして一家が住む家が、その隣にあるということです。 この映画は謎解きのよ...
英月
2024.6.01
衝撃的で、例えようの無い後味 第96回アカデミー賞にて、国際長編映画賞と音響賞の2部門を受賞した「関心領域」。〝今世紀最も重要な映画〟〝どんなホラー映画よりも恐ろしい〟、そう映画評論家に言わしめた衝撃作だ。第二次世界大戦下のアウシュビッツ強制収容所と隣り合わせで生活していた家族にスポットライトを当てた105分間は、私にとっても確かに衝撃的で、例えようの無い後味を残している。 背後に立ちのぼる煙と漂う異様な気配 舞台は1945年のポーランド郊外。アウシュビッツ収容所の所長、ルドルフ・ヘスとその妻ヘートヴィヒら家族は、収容所と壁を隔てたすぐ隣の家で幸せに暮らしていた。我が...
波多野菜央
2024.5.27
ナチスの罪悪を題材とした映画は毎年何本も作られ、次々と新しい視点が示されている。「関心領域」もその一本だが、ここで描かれるのはユダヤ人虐殺に関わらなかった人たちである。だからこそ、この作品は現代の私たちと直結し、今まさに起きていることとして迫ってくる。 映画は水辺にピクニックに来た一家の姿から始まる。両親と子どもたち、平穏で平凡な風景だ。しかし、次第に不穏な空気が漂い始める。舞台は第二次世界大戦中、一家はアウシュビッツ収容所の隣に住んでいて、父親のルドルフ・ヘス(クリスティアン・フリーデル)は収容所長なのだ。 一家がこの家に住んで数年。母親のヘートビヒ(ザンドラ・ヒュラー)は、自身の趣味で...
2024.5.24
ドイツ人のベストセラー作家サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)は、視覚に障害のある11歳の息子ダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)、愛犬スヌープ、そして教師を務めながら作家を目指す夫(サミュエル・タイス)と共に、彼の生まれ故郷フランスの人里離れた雪山にぽつんと建つ山荘で暮らしています。ある日、夫が山荘の窓から転落して亡くなり、サンドラが殺人容疑で検察に起訴されます。無実を訴えますが、夫のUSBメモリーからは死の前日に夫婦が激しく争う音声が見つかり、彼女は窮地に立たされます。 当然のことですが、検察は彼女が夫を殺したと思っています。それだけでなく、弁護を引き受けたサンドラの古い友人ヴァンサン(スワ...
2024.4.02
アカデミー賞作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞、音響賞の5部門にノミネート。昨年5月のカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したほか、英国アカデミー賞英国作品、非英語作品賞、ロサンゼルス映画批評家協会作品賞、トロント映画批評家協会作品賞など各国で高い評価を受けている。アウシュビッツ強制収容所と壁を隔てた邸宅に住む収容所所長 ルドルフ・フランツ・フェルディナント・ヘス 一家の平和な日常生活を描いた。イギリスの作家マーティン・エイミスの小説が原作で「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」のジョナサン・グレイザーが脚本、監督した。 収容所の隣に住む所長一家の穏やかな日常 映画は、真っ黒...
鈴木隆
2024.3.09
昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドールに輝いたフランス映画だ。全米賞レースでも高評価を得て、アカデミー賞では5部門の候補に。仏グルノーブルの雪山での不審死事件をめぐるミステリー劇なのだが、全編に濃密なスリルがみなぎり、2時間32分の長尺もまったく苦にならない。 自宅の山荘近くの雪原で血を流して倒れていた中年男サミュエルを発見したのは、視覚障害を持つ11歳の息子ダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)。警察の捜査の結果、ベストセラー作家で妻のサンドラ(ザンドラ・ヒュラー)が殺人罪で起訴される。 ここから真相究明の舞台は法廷に移るが、そこでの具体的かつ生々しいやりとりから目が離せない。検事は被害者...
2024.3.01
雪の中の山荘で、作家サンドラの夫が転落死する。目撃者はおらず、自殺か他殺かの決め手に欠け、サンドラは容疑者として裁判にかけられた。裁判の過程でサンドラと夫の間の確執が明らかになり、死の前日の激しい言い争いも暴露される。裁判は大詰めを迎え、サンドラの視覚障害を持つ息子が証人として出廷する。 第76回カンヌ国際映画祭パルムドール。第96回アカデミー賞では、脚本賞を受賞した。 ©2023 L.F.P. – Les Films Pelléas / Les Films de Pierre / France 2 Cinéma / Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma
アウシュビッツ収容所長のルドルフ・ヘスとその妻ヘドウィグは、収容所の隣に建つ自宅で夢に見た理想の生活と庭をつくろうと奮闘する。隣の収容所からは悲鳴や銃声が絶え間なく聞こえるが、夫婦の関心は、屋敷に住み続けるためにいかに転任の辞令を撤回させるかだ。 第76回カンヌ国際映画祭グランプリ。第96回アカデミー賞で国際長編映画賞と音響賞を受賞。 © Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights...