〝アジア最大級〟の第37回東京国際映画祭。国内外から新作、話題作が数多く上映され、多彩なゲストも来場。映画祭の話題をお届けします。
2024.9.25
第37回東京国際映画祭の〝顔〟菊地凜子「共通言語で世界がつながれる」 コンペ15作日本映画3本
第37回東京国際映画祭(TIFF)の概要発表記者会見が25日、東京都内で行われた。映画祭は10月28日から11月6日、東京の日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区を会場に開かれる。映画祭の〝顔〟となるフェスティバル・ナビゲーターは、俳優の菊地凜子。各国の映画祭に参加してきた経験から「映画祭は、映画という共通言語で世界の人々がつながれるのがすごい。映画から学び、出演することで返していると思う」とアピールした。
コンペの日本映画は3本、中国語圏に偏り
映画祭の開幕作品は、白石和彌監督の時代劇「十一人の賊軍」、閉幕作はクリストフ・オノレ監督の「マルチェロ・ミオ」。最高賞の東京グランプリなどを競うコンペティション部門には、15作品が選ばれた。日本からは、片山慎三監督の「雨の中の慾情」、大九明子監督の「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」、吉田大八監督の「敵」の3本。中国から3本、香港、台湾から各1本と、中国語圏の作品が目立つ。8本がワールドプレミアだ。
コンペ部門の審査員は、香港の俳優、トニー・レオンを委員長に、俳優の橋本愛、キアラ・マストロヤンニら5人。110カ国・地域から2023作品の応募があった。市山尚三プログラミング・ディレクターは「中国語圏に偏ったが、地域間のバランスは考えず面白いものを選んだ結果。新たな発見や挑戦がある作品、ウェルメードより面白い要素がある作品を選んだ。不安定な世界を反映している映画が多かった気がする」と話した。
アジアを世界にアピールする場に
アジアの新人監督の作品を対象とした「アジアの未来」部門では、蔦哲一朗監督の「黒の牛」など10作品が賞を競う。また今回から「ウィメンズ・エンパワーメント」部門を新設。TIFFは映画界の男女平等を目指すとしており、この部門では各国の女性監督の作品や、女性の活躍をテーマとする新作映画を上映する。今回は甲斐さやか監督の「徒花 ADABANA」など7本を集めた。シニア・プログラマーで元駐日マケドニア大使のアンドリヤナ・ツベトコビッチは「これまで女性たちの物語は語られてこなかった。映画界がインクルーシブになるよう後押しするものだ」と意義を強調した。
監督特集は入江悠。「SR サイタマノラッパー」シリーズなど5作を上映。「映画界の未来を託したい映画人」に贈られる「黒澤明賞」には、日本の三宅唱、台湾のフー・ティエンユー両監督が選ばれた。また映画人同士の交流の場となる「交流ラウンジ」には、ジョニー・トー、エリック・クー両監督の参加が決まっている。
安藤裕康チェアマンは「世界との交流」「人材育成」「女性への視座」を強調し、「国際交流に力を入れ、東京に来れば日本を含めたアジアの映画が分かるような映画祭とし、世界にアピールしたい」と語った。