よしだ だいはち
1963年10月01日 生まれ
映画監督「桐島、部活やめるってよ」(2012年)監督・脚本「紙の月」(2014年)監督「美しい星」(2017年)監督・脚本「羊の木」(2018年)監督「騙し絵の牙」(2021年)監督・脚本「敵」(2023年)監督・脚本
国際映画祭の〝重要度〟は、メディアの扱いで測ることができる。特に、新聞紙面での記事の大きさに顕著に表れる。スペースは限られているから、大事なニュースほど大きく〝前〟に、載っていればいいというネタなら片隅に小さく。カンヌ、ベルリン、ベネチアの3大国際映画祭で日本映画が最高賞を受賞すれば、「1面級」だ。しかし小さな映画祭だと社会面の端っこか、場合によってはボツ。 東京グランプリを受賞し、笑顔を見せる「敵」の吉田大八監督(左)と最優秀男優賞を受賞した長塚京三=宮武祐希撮影 映画や映画祭は「文化」ではない? 第37回東京国際映画祭(TIFF、10月28日~11月6日)では、「敵」が日本...
勝田友巳
2024.11.15
第37回東京国際映画祭は6日、閉幕式と授賞式が行われ、コンペティション部門最高賞の東京グランプリに日本映画「敵」が選ばれた。「敵」は吉田大八の最優秀監督賞、主演の長塚京三の同男優賞と合わせ3冠。日本映画のグランプリ受賞は、2005年の「雪に願うこと」以来だ。 19年ぶり 日本映画快挙 「敵」は筒井康隆の同名小説が原作。一軒家で淡々と日々を送る元大学教授が、老いの中で次第に意識を混乱させ「敵」が迫っているという妄想にとらわれていく姿を白黒の映像で描いた。トニー・レオン審査委員長は「老いを誠実かつユーモアを込めて描いた」と評した。 「敵」©1998 筒井康隆/新潮社 ©2023 TEK...
ひとシネマ編集部
2024.11.06
第37回東京国際映画祭(TIFF)の概要発表記者会見が25日、東京都内で行われた。映画祭は10月28日から11月6日、東京の日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区を会場に開かれる。映画祭の〝顔〟となるフェスティバル・ナビゲーターは、俳優の菊地凜子。各国の映画祭に参加してきた経験から「映画祭は、映画という共通言語で世界の人々がつながれるのがすごい。映画から学び、出演することで返していると思う」とアピールした。 コンペの日本映画は3本、中国語圏に偏り 映画祭の開幕作品は、白石和彌監督の時代劇「十一人の賊軍」、閉幕作はクリストフ・オノレ監督の「マルチェロ・ミオ」。最高賞の東京グランプリなど...
2024.9.25
大手出版社「薫風社」で創業者一族の社長が急逝。改革派の東松(とうまつ)専務(佐藤浩市)と文芸誌重視の宮藤(くどう)常務(佐野史郎)による陰謀渦巻く権力争いが勃発する。部数がジリ貧で廃刊の危機に立たされたカルチャー誌編集長、速水(大泉洋)は文芸誌編集者の高野(松岡茉優)らを巻き込み、奇策で生き残りを画策する。 雑誌の休刊、町本屋の閉鎖など出版不況のリアルとその半歩先をちらつかせ、文芸誌や文学賞への皮肉もたっぷり。エピソードの一つ一つは珍しくないが、絶妙のテンポと次々と物語をひっくり返す構成の巧みさ、大胆な省略で飽きる時間を作らせない。スピーディーな展開と大泉、松岡らが醸し出す明るさ、さらに大作...
2021.3.25
大学教授の職を辞して10年になる渡辺儀助、77歳。妻には先立たれたが、祖父の代から続く日本家屋で平穏に暮らしている。料理は自分でつくり、晩酌を楽しみ、気の置けない僅かな友人と酒を飲み交わし、時には教え子を招いてディナーを振る舞う。自身が後何年生きられるかを計算しながら、来るべき日に向かって日常は完璧に平和に過ぎていく。遺言書も書いてある。もうやり残したことはない。だがそんなある日、パソコンの画面に「敵がやって来る」と不穏なメッセージが流れてくる。 第37回東京国際映画祭コンペティション部門出品作品。