騙し絵の牙
大手出版社「薫風社」で創業者一族の社長が急逝。改革派の東松(とうまつ)専務(佐藤浩市)と文芸誌重視の宮藤(くどう)常務(佐野史郎)による陰謀渦巻く権力争いが勃発する。部数がジリ貧で廃刊の危機に立たされたカルチャー誌編集長、速水(大泉洋)は文芸誌編集者の高野(松岡茉優)らを巻き込み、奇策で生き残りを画策する。 雑誌の休刊、町本屋の閉鎖など出版不況のリアルとその半歩先をちらつかせ、文芸誌や文学賞への皮肉もたっぷり。エピソードの一つ一つは珍しくないが、絶妙のテンポと次々と物語をひっくり返す構成の巧みさ、大胆な省略で飽きる時間を作らせない。スピーディーな展開と大泉、松岡らが醸し出す明るさ、さらに大作...