「少年と犬」の舞台あいさつでくす玉を割る高橋文哉(左から3人目)ら出演者たち

「少年と犬」の舞台あいさつでくす玉を割る高橋文哉(左から3人目)ら出演者たち2025年3月20日、和田大典撮影

2025.3.20

高橋文哉「震災の傷を忘れまいと演じていた。希望の光を見つけて」 「少年と犬」初日あいさつ 

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「少年と犬」(毎日新聞社など製作委員会)が20日、全国で公開され、東京・有楽町の映画館で舞台あいさつが行われた。主演の高橋文哉と西野七瀬、出演した伊原立花、木村優来、宮内ひとみ、瀬々敬久監督、多聞役で〝主演〟したジャーマンシェパード犬のさくらが登壇した。

 

涙ぐんだ観客を前に

映画は馳星周の直木賞受賞作の映画化。東日本大震災で飼い主をなくした犬の多聞が、〝大切な人〟と会うために5年をかけて熊本まで旅をする物語。震災後に窃盗団の手伝いをしていた和正(高橋)と秘密を抱えた美羽(西野)が多聞の旅を助けることになり、自らの人生を見直していく。

この日は上映直後の舞台あいさつで、ほぼ満席の会場には涙ぐんだ観客の姿も。さくらのリードを持って現れた高橋は「涙を浮かべている人もいるようで、初日を迎えてうれしい」と第一声。公開に向けて西野やさくらと多くの宣伝活動に参加してきたといい「トリプル主演と思っています」。西野は「やっと見ていただける。どう届くか、何が届くか知ることができるのが楽しみ」と映画の反応に期待していた。

瀬々監督は「撮影前に末期がんと診断された父親が、終了後に亡くなった。僧侶が『老いと死は、努力でどうにもできない』と言っていたが、同様に地震などの天災も避けられない。この映画では多聞が人間の救いとなっていて、テーマがつながっている。自分にとって大切な映画となった」と話した。


少年と犬」©2025映画「少年と犬」製作委員会

西野七瀬「見た人に寄り添う作品」

多聞と心を通わせる少年を演じた木村は「撮影の間はさくらと遊んで楽しかった。撮影が終わってからも、さくらと遊びに行っていた」と明かし、高橋や西野をうらやましがらせた。少年の母親を演じた宮内は、撮影中に自身の母親をみとったといい「子供に対する愛情を母に教えてもらった。映画に参加できてよかった」としみじみ。

映画について西野は「この映画はフィクションだけれど、自分たちの話だと思える点もある。犬に癒やされたり救われたりすること、出会いで人が変われることなど、誰もが経験するのではないか。見た人に寄り添う作品になると思う」。高橋は「僕にとって、これからの役者人生の核になると思っている」という。「東日本や熊本、能登などの震災で、被災者も、僕たちも傷ついた。そのことを忘れてはならないと思い、責任を感じながら演じていた。映画は多聞を希望の光として見いだしている。みなさんにも、自分にしか見えない希望の光が必ずあると思う。映画を見て、それを記憶に残してくれたらうれしい」と呼びかけていた。

さくらはおとなしく控えていたものの、時折もぞもぞと動き回ったりクンクンと鳴き声を上げたりし、高橋らと掛け合いをするよう。出演者にもよくなついていた様子。初日を祝って、高橋、西野、さくらがひもを引いてくす玉を割り、「祝 『少年と犬』初日だワン!」と書かれた垂れ幕を読み上げると、さくらが絶妙のタイミングで「ワン!」と一声。〝主演〟2人と1匹が、息の合ったところを見せていた。

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  • 「少年と犬」の初日舞台あいさつで、犬のさくらと共に登壇した(左から)宮内ひとみ、木村優来、高橋文哉、西野七瀬、伊原六花、瀨々敬久監督
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  • 「少年と犬」の初日舞台あいさつで、犬のさくらと共に登壇した(左から)西野七瀬、伊原六花、瀬々敬久監督=2025年3月20日、和田大典撮影
  • 「少年と犬」の初日舞台あいさつで犬のさくらと登壇した(左から)木村優来、高橋文哉=2025年3月20日、和田大典撮影
  • 「少年と犬」の初日舞台あいさつで、犬のさくらと共に登壇した(左から)高橋文哉、西野七瀬、伊原六花=2025年3月20日、和田大典撮影
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