特選掘り出し!:「まる」 監督の覚悟と意志が鮮明に
美大卒だがアートで身を立てられず、現代美術家のアシスタントをしている沢田(堂本剛)は腕をケガしてクビになる。アパートの部屋でアリに導かれるように描いた「〇」が人気となり、正体不明のアーティストとして一気にもてはやされる。沢田は口数が少なく何事も受け身。画廊オーナー(小林聡美)や怪しげなアートディーラー(早乙女太一)に言われるままに行動し、自分を見失っていく。 評判に便乗する金もうけ優先の人々や、流行を追いかけるばかりの世間の風潮を痛烈に批判。前作「波紋」と同様にその刃は鋭く、外国人差別など世の中の不条理にも向けられる。荻上直子監督は心底怒っているのだ。隣人の売れない漫画家(綾野剛)ら周囲は誰...