この1本:「辰巳」 暴力の果て 救いあるか
よくぞこれだけ悪相の俳優を集めたものだ、と思うほど、登場人物が濃い。地顔が、というよりこれは演出と俳優陣の奮闘の成果だろう。そんなコワモテの男女による、裏社会を舞台にした復讐(ふくしゅう)劇。手加減のない暴力を容赦なく描写するから目を背けたくなる場面も多々あって、映倫区分もR15+(15歳未満は鑑賞禁止)。賛否は大きく分かれそう。しかしすさんだ暴力があるからこそ、その果てに残る一片の人間らしさに真実味がある。暴力描写に耐性のある大人限定で、お勧めしたい。 暴力組織の遺体処理係の辰巳(遠藤雄弥)は、元恋人・京子(亀田七海)の妹葵(森田想)が麻薬をくすねた尻拭いを依頼され、仕方なく手を貸すことに...