この1本:「ディア・ファミリー」 不屈「病の娘、救いたい」
何事も淡々と、諦めがいいのが当世流。低成長、停滞期が長く続いたし、夢や希望は持つだけ無駄。しかし執念やド根性が、不可能を可能にすることもある。昭和の終盤から始まる、実話の映画化である。 名古屋で町工場を経営している坪井宣政(大泉洋)が、不治の心臓病の娘佳美(福本莉子)のために人工心臓を開発しようとするものの、結局挫折。しかしそれでも立ち上がり、ついに画期的なバルーンカテーテルを開発する。懸命に生きようとする佳美のけなげさを描く一方で、「オレが諦めたら終わり」と不屈の闘志で進み続ける宣政と、彼を支えた家族の奮闘を追っていく。 宣政の猪突(ちょとつ)猛進ぶりがすさまじい。日本中の病院を回って診...