くさの しょうご
1984年4月17日 生まれ
映画監督「九月の恋と出会うまで(2019年)「アイミタガイ」(2024年)
鑑賞のきっかけは「アイミタガイ」 寺尾聰さん演じる妻を殺した警部・梶聡一郎が自首するところから物語は始まる。妻はアルツハイマー病を患っており、彼女に懇願され殺したというのだ。しかし、犯行後自首までの空白の2日間について彼は何も語ろうとしない。日本警察の根幹を揺るがす大事件と世間で騒がれるなか、混乱する警察内部や報道するマスコミ関係者の心情をたどりながら、事件の謎は思わぬ方向へ解き明かされていく……。 2004年公開の作品。もう20年前だ。かなり話題になっていたという事実だけおぼろげに記憶しているが、当時小学生だったこともあり、劇場に足を運ぶことはなく、未鑑賞だった。しかし、公開中の映画「...
今泉マヤ
2024.11.03
アイミタガイ、なかなか聞き慣れない言葉だと思う。私も鑑賞するまで意味を知らなかった。漢字にすると「相身互い」。同じ境遇のもの同士が同情し助けあうという意味の言葉だ。因果応報、輪廻(りんね)転生……まったく意味は異なるが、なんとなく類似しているような、仏教的な言葉だと感じた。アイミタガイ、アイミタガイ……唱えてみるとお経のような不思議な響きの言葉だとも思う。 タイトルはさておき。黒木華さん演じるウエディングプランナーの主人公 梓(あずさ)は中村蒼さん演じる交際相手の澄人(すみと)との結婚に踏み切れずにいる。そんななか藤間爽子さん演じる中学時代からの親友の叶海(かなみ)が事故で命を落としてしまう...
2024.10.26
原作は、2014年に斎藤緑雨文化賞長編小説賞を受賞した中條ていによる短編連作集「アイミタガイ」。「台風家族」(2019年)の市井昌秀監督が脚本の骨組みを作り、「ツレがうつになりまして。」(11年)の故・佐々部清監督の企画を受け継いだ「彼女が好きなものは」(21年)やドラマ「こっち向いてよ向井くん」などを手がけた草野翔吾監督が一本の映画にした。かけがえのない存在だった親友を失い、立ち止まってしまった主人公・梓を中心に思いがけない出会いが連鎖し、大きな輪になっていく群像劇。人との繋がりが希薄になってしまった現代に、誰の胸にも眠っている〝相身互い(アイミタガイ)〟という助け合いの心を呼び起こす。 ...