いしい がくりゅう
1957年1月14日 生まれ
石井聰亙(いしい そうご)監督「パンク侍、斬られて候」(2018年)「蜜のあわれ」(2016年)「ユメノ銀河」1997年)「エンジェル・ダスト」(1994年)「逆噴射家族」(1984年)「狂い咲きサンダーロード」(1980年)「箱男」(2024年)
デビューから41年、止まることなく走り続ける永瀬正敏。石井岳龍監督との27年にわたる共闘が実り、「箱男」がついに完成、公開された。映画界では仰ぎ見られる存在となっても、「若い人は仲間」と気負わず語る。 ベルリン映画祭の晴れ舞台 石井岳龍監督とともに 2024年2月、ベルリン国際映画祭で、永瀬正敏が主演した「箱男」が、世界初上映された。永瀬も石井岳龍監督も、ドイツの映画ファンにはおなじみ、会場はほぼ満席。国際映画祭は何度も経験しているが、今回のベルリンの喝采は、永瀬にとってひときわ感慨深かったという。「箱男」は27年前、永瀬主演で準備が進みながらクランクイン前日に撮影中止という悲...
勝田友巳
2024.9.01
主演作「箱男」が公開中の永瀬正敏。オーディションで抜擢(ばってき)された「ションベン・ライダー」(1983年)でデビューし、相米慎二監督にしごかれたものの撮影現場の魅力にとりつかれ、宮崎県の高校を中退して単身上京、俳優への道を歩き始める。 「音楽屋みたいだな」オーデションで落ち続け 「ションベン・ライダー」で鮮烈にデビューした永瀬正敏だったが、80年代はなかなか役がつかなかった。「お金がなかったから、古着屋でやっと買った革ジャンでオーディションに行くと、その格好だけで『音楽屋みたいだな』と不合格。俳優らしいってなんだ、と思っていた」。一張羅の服なのに、見かけだけで既成の型に押し...
2024.8.31
ようやく、時代が追いついた――。「逆噴射家族」で世界に名を知らしめた鬼才・石井岳龍監督の最新作は、安部公房の小説を原作とした「箱男」だ。段ボールをすっぽりとかぶり世界をのぞき見する男と、その存在にとらわれる人々。半世紀も前に、SNS全盛のネット社会を予見していたかのような小説の映像化は約30年前に1度、頓挫していた。くしくも安部公房生誕100年の今年、悲願を果たした石井監督は「現代だからこそ、映像化できたことに意味がある」と言う。 頓挫ものともせず「必ず撮る」 日独合作作品として製作が決まり、1997年にドイツで撮影を開始するはずだった。しかし、製作資金の問題でクランクイン前日...
谷口 豪
2024.8.23
安部公房が1973年に発表した実験的な小説を、石井岳龍監督が映画化。97年に製作中止の憂き目にも遭っただけに、並々ならぬ熱量だ。筋立てを追えば混乱必至、迷路のような怪作である。 元カメラマンの「わたし」(永瀬正敏)は、すっぽりと段ボール箱をかぶった「箱男」として生きている。存在を消し去り、箱の中から社会をのぞき、妄想をノートに書き付けていた。あるとき古びた病院に誘い込まれると、病に侵された軍医(佐藤浩市)と、その世話をするニセ医者(浅野忠信)、それに看護師の葉子(白本彩奈)が暮らしていた。 物語を要約すれば、〝ホンモノ〟の箱男になろうとする、「わたし」とニセ医者、それに軍医の抗争ということ...
海外の映画祭は何度も訪れたはずの永瀬正敏にも、第74回ベルリン国際映画祭は格別だったようだ。27年前に同じドイツの地で撮影開始前日に中止となった、「箱男」のワールドプレミア。エンドロールの拍手の中、隣にいた石井岳龍監督を「思わず握りしめた」。胸中に去来した思いを語ってもらった。 淡々と歩く背中に悲しみが 「箱男」は安部公房が1973年に発表した小説の映画化で、92年に石井岳龍(当時は聰亙)監督が映画化を託された。97年、日独合作、ドイツ・ハンブルクでの撮影と決まり、永瀬は先乗りして役作りにかかる。 「1カ月、ホテルの部屋でのぞき窓を開けた段ボールの箱をかぶって生活しました。監督から...
2024.2.21
第74回ベルリン国際映画祭でワールドプレミア上映された「箱男」。深夜に及んだ上映から一夜明けた18日、石井岳龍監督、出演した永瀬正敏、佐藤浩市、浅野忠信が日本人記者の取材に応じた。 佐藤浩市「深いもの持って帰ったのでは」 17日の上映は午後10時半に始まり、質疑応答が終わったのが18日午前1時過ぎ。石井監督は「もっとゆっくり話したかった。それでも面白かったと言ってくれた人には女性が多く、安心した」と手応えを感じた様子。佐藤は「異国の地での上映で、どう見られるか、普段より雰囲気を敏感に見た。〝見る〟ことについて深いものを持って帰ったのではないかと思う」。永瀬は「初めて観客に見てもらい、感...
2024.2.18
第74回ベルリン国際映画祭で17日夜(日本時間18日)、話題作を上映する「ベルリナーレスペシャル」部門で日本映画「箱男」が公式上映された。上映前には石井岳龍監督のほか、出演した永瀬正敏、浅野忠信、佐藤浩市がレッドカーペットに姿を見せた。 映画は安部公房の小説が原作。段ボールの箱をかぶって自己の存在を消して生きるようになった男たちと1人の女の倒錯した関係を通して、現代におけるアイデンティティーの意味を問いかけている。 「もっとも狂った映画」 石井監督が32年前から映画化を構想し1997年には日独合作で製作が決まったものの、ハンブルクでのクランクイン前日に撮影中止。ようやく完成にこぎつ...
原作は、安部公房が1973年に発表した同名小説。ダンボール箱を頭からかぶり、覗き窓から世界を見つめる男。自己の存在証明を捨て去った彼のその先にあるものを描く。1997年、安部公房本人から直接映画化を託された石井岳龍によって製作が決定するも、クランイン前日に撮影が頓挫。それから27年を経て、安部公房生誕100年にあたる2024年についに実現させた。主演は、27年前と同じ永瀬正敏、更に永瀬と共に出演予定だった佐藤浩市が共演する。さらに、浅野忠信やオーデションで選ばれた白本彩奈が加わった。 ダンボールを頭からすっぽりと被り、都市を徘徊し、覗き窓から一方的に世界を覗き、ひたすら妄想をノートに記述する...
横浜聡⼦、⽯井岳⿓、加藤拓⼈、守屋⽂雄の4⼈の監督が織りなす、〝感情の⽋けた〟4⼈の兄弟姉妹を描いた1本の作品。〝喜び〟の感情が⽋けた⻑男を嶺豪⼀、〝怒り〟の感情が持てない長女を柳英⾥紗、〝楽しさ〟が分からない次男を井之脇海、そして、〝寂しさ〟を感じない末っ⼦の次⼥は⽩⽥迪巴耶がそれぞれ演じる。 公開:2023年9月 © cogitoworks Ltd. All rights reserved.
「パンク侍、切られて候」(2018年)以来、5年ぶりとなる石井岳龍監督最新作。神戸芸術工科大学教授に着任して以来、17年間に至る映画創作研究活動の集大成として制作された。「石井岳龍教授」を監督本人が演じ、神戸芸術工科大学・映画コース関係者有志による制作スタッフの全員がカメラの前に立ち、映画を学び、作り上げていくプロセスそのものを作品に仕上げた。 ©︎ISHII GAKURYU
幻の街サンダーロード。暴走族、右翼団体などの組織になじまない仁(山田辰夫)の暴走と復讐劇。