トピックス:冬薔薇(ふゆそうび)
専門学校生の淳(伊藤健太郎)は、学校にも行かずその日暮らしの半端者。半グレ集団に加わって犯罪に加担し、同級生から金を借りて返さない。海運業を営む両親(小林薫、余貴美子)とは同居しながら会話もない。再会した元教師のいとこ貴史(坂東龍汰)もワケありで、やがて事件が起きる。 阪本順治監督が自身のオリジナル脚本で描く群像劇だ。淳ばかりでなく両親も貴史も、登場するのは不完全な人ばかり。「善」と「悪」の境界で危うく揺れながら、生きる道を模索する。阪本監督は彼らを断罪もひいきもせず厳しく見つめ、しかし見捨てない。人間のどうしようもない弱さとたくましさを奥行き深く活写した。 冬薔薇(そうび)とは冬の寒さに...