チャートの裏側:「碁盤斬り」 時代劇に新境地
囲碁がずば抜けて強く、剣技にもたけた主人公の浪人は、果たして何者なのか。先が読めない話の展開と相まって、この人物の一筋縄ではいかない魅力にどっぷりとはまる。「碁盤斬り」だ。時代劇の歴史に新たなページを加えた作品と言っていい。 浪人・格之進を草彅剛が演じる。彼のマゲものといえば、NHK大河ドラマ「青天を衝(つ)け」における徳川慶喜役が浮かぶ。その時の品格ある趣を携えつつ、ある出来事をきっかけにガラリと雰囲気が変わる。穏やかな風貌が一転、憎悪に満ちあふれた表情も見せる。静から動である。 山下耕作監督の傑作股旅映画「関の彌太ッペ」の中村錦之助(後年、萬屋錦之介)が重なった。中村の場合は明から暗だ...