この1本:キネマの神様 はみ出し者、夢の続き
山田洋次監督による、松竹映画100周年記念作。はみ出し者のダメ男への慈しみと黄金時代の撮影所への郷愁、そして家族の絆。山田監督が繰り返し描いてきた主題が詰め込まれた人情ドラマ。1986年の松竹大船撮影所50周年記念作「キネマの天地」と対になるような一作だ。 ゴウは酒好きでギャンブル依存。友人テラシンが館主の名画座に入り浸る。妻の淑子に苦労をかけ通し、娘の歩の職場にまで借金取りの電話がかかる始末だ。ゴウはかつて撮影所の助監督で、監督デビューを目前に挫折していた。 映画は50年前のゴウの青春時代と2020年を行き来する。映画への夢を語り淑子との愛を育てる青春編、現代編では初監督をするはずだった...