2023年も、たくさんの映画や配信作品が公開されました。とても見切れなかった!とうれしい悲鳴も聞こえてきそうです。「ひとシネマ」執筆陣が今年の10本と、来る24年の期待作3本を選びました。年末年始の鑑賞ガイドとしてもご利用ください。
2023.12.29
人生とシンクロする作品たち 宮脇祐介
ゆく年編
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート監督s)
「BLUE GIANT」(立川譲監督)
「世界の終わりから」(紀里谷和明監督)
「NO LIMIT,YOUR LIFE ノーリミット、ユアライフ」(毛利哲也監督)
「市子」(戸田彬弘監督)
「キリエのうた」(岩井俊二監督)
「人生は美しい」(チェ・グッキ監督)
「ゴジラ-1.0」(山崎貴監督)
「ファンファーレ」(吉野竜平監督)
「PERFECT DAYS」(ビム・ベンダース監督)
新鮮な映像、中年の悲哀と下ネタ
今年の10本鑑賞順。「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」新鮮な映像世界と中年の悲哀と下ネタに大いに楽しませてもらった。「BLUE GIANT」とにかく胸熱! 上京編を頭に持ってきたのが良かった。
「世界の終わりから」今と戦国時代を自由に行き来する紀里谷和明監督の才能がほとばしる。ホントにこれが終わり? 「NO LIMIT,YOUR LIFE」あなたはなぜ不治の病にかかっても前に進むのか! 大尊敬、大号泣。「市子」僕の周りも市子はいたかもしれない、そう思わせる秀作。「キリエのうた」アイナ・ジ・エンドの、人生をかきむしるような歌声と脇に徹した広瀬すず、大好きな映画。
「人生は美しい」「アナログ」とともに大いに泣いた秋の大人のラブストーリー。「ゴジラ-1.0」山崎貴監督の全ての映画の要素が詰まった映画、時代設定が秀逸。「ファンファーレ」若いのはつらい、少しずつ年を取っていくのはもっとつらい。青春映画の逸品。「PERFECT DAYS」繰り返す移動中のBGMが僕の人生のセットリストとシンクロした!
くる年編
「石炭の値打ち」(ケン・ローチ監督)
(4月6日、渋谷ユーロライブ「サム・フリークスVol.27」)
「ディア・ファミリー」(月川翔監督) 6月14日公開
「マッドマックス フュリオサ」(ジョージ・ミラー監督) 2024年公開
ルーツをたどり、泣く、血が騒ぐ
「石炭の値打ち」故郷が石炭の積み出し港である僕のルーツを、ケン・ローチが見せてくれるはず。「ディア・ファミリー」絶対泣くヤツ。「マッドマックス フュリオサ」血が騒ぐ!
動員では新型コロナウイルス禍前に戻ったという2023年興行。24年は邦画実写、洋画、ミニシアターの動員が戻ってくることを期待。また、邦画実写の世界への挑戦を応援したい。
【ひとシネマ的 ゆく年くる年 総まくり2023年】
人生の苦難、心の闇……〝痛み〟引きずった作品たち SYO
面白い作品を満喫 悔いなき1年 高橋佑弥
日本映画に感じた「物作り」の力 洪相鉉
やっと戻った日常 心の琴線に触れた10本 後藤恵子
印象残った 今日的なテーマの良作 井上知大
良作ぞろいの欧州アートハウス系 高橋諭治
「対話」がもたらすつながりと気づき 山田あゆみ
アニメ映画に泣いて笑って きどみ
生誕120年小津とカンヌが結ぶ是枝、ベンダース、北野 伊藤弘了
言語で描けない闇に魅惑された 藤原帰一
〝思いもよらぬ世界〟を満喫 これぞ映画! 勝田友巳