この1本:「怪物」 見事な是枝調、坂元脚本
是枝裕和監督と人気脚本家の坂元裕二が初めて組んで、カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞。世の中の不条理や子供たちへの不当な圧力といった是枝監督がこれまでも扱ってきた主題を、坂元脚本はヒネった語り口で提示する。坂元流の強力な推進力ある物語と、登場人物の心情を丹念に描く是枝調がうまくかみ合って、見応え十分。 夫に先立たれ、小学5年生の湊(黒川想矢)を一人で育てる早織(安藤サクラ)は、湊の様子がおかしいことに気付く。問い詰めると、担任の保利(永山瑛太)に暴言を吐かれ体罰を受けたという。早織は学校に抗議するものの、校長(田中裕子)らの対応は誠意が感じられず、保利は形式的な謝罪の後で、湊が同級生の依里(柊木...