「かくしごと」 女優・杏の記念碑的秀作
絵本作家の千紗子(杏)は絶縁状態だった父孝蔵(奥田瑛二)が認知症になったため、郷里に戻る。ある日、久しぶりに再会した旧友の久江(佐津川愛美)と帰宅途中、久江が少年(中須翔真)を車ではねてしまう。少年は大きなけがはなかったが、記憶を失い、体に虐待の痕が無数にあった。千紗子は少年を守るため自分の子として育てることを決意する。 スマートでそつのないクールなイメージが強かった杏が、女優として大きな一歩を踏み出した記念碑的秀作である。計算された演技というより、内から自然と湧き上がってきたものを体全体にしみこませ、気持ちの赴くままに動き、言葉を発しているように感じた。千紗子のとった行動を理解するとか、信...