この1本:「夜明けまでバス停で」 路上から直球の怒りを
新型コロナウイルスの猛威は、社会に潜在していたさまざまなひずみをあぶり出した。高橋伴明監督はあらわになった日本の問題の総ざらえにとどまらず、ここに至る現代史の道筋までも振り返る。これでいいのかという真っすぐな怒りにユーモアもまぶし、ベテランの余裕を感じさせる直球の社会派映画。 居酒屋のアルバイトをしていた三知子(板谷由夏)は、緊急事態宣言が出ると一方的に解雇された。寮を追い出され、住み込みで働くはずだった介護施設も採用を見送り。折り合いの悪い実家にも帰れず、行き場を失って路上生活者となってしまう。行き倒れそうになったところを、公園のテントで生活するバクダン(柄本明)らに助けられた。 202...