私と映画館:父と見に行った夏
小学生の頃、両親がよく映画館に連れて行ってくれた。「南極物語」(1983年)は母と行った。高倉健、渡瀬恒彦演じる南極観測隊員が南極を再訪問し、置いてきた樺太犬を発見して「タロ!」「ジロ!」と叫んだ瞬間、私の感情はクライマックスに達したが、母に「トイレに行く」と言って席を立った。子ども心にも母の前で泣くのが恥ずかしかったのだ。 同じ年の夏休み、父と「スーパーマンⅢ」を見に行った。少し前にテレビで「スーパーマン」を鑑賞。クリストファー・リーブ演じるスーパーマンが愛する女性を救うため、超高速で地球の周りを回って時間を巻き戻すという展開に度肝を抜かれ、続編がどうしても見たかった。 父に東京・渋谷の...