チャートの裏側:観客に届いた優しさ
人と人の関わりを、その奥深くまで分け入って描く作品が、観客にしっかり届いている。初登場4位の「夜明けのすべて」で、4日間では興行収入が約1億9000万円を記録した。最終では、5億円突破が期待できるという。派手な内容ではない作品だから、うれしさが募る。 PMS(月経前症候群)を抱える女性と、パニック障害を持つ男性の話を軸にした。2人は同じ職場に勤める。ぎくしゃくしていたお互いの距離が、丁寧な描写の積み重ねで、次第に縮まっていく。言葉の微細なやり取り、違う色を見せる2人の表情の変化。うなるシーンが多い。 加えて、作品の魅力の幅を存分に広げたのが、仕事場の数々の情景だろう。社員10人に満たない小...