北九州に受け継がれるDNA「川筋気質」体を張って生きていく、Z世代が見た高倉健「日本俠客伝 花と龍」
1文字目に何を選ぼう。こんなにも緊張感を持って文章に向き合うことは、あまりない。私が見たのは、高倉健主演の映画「日本俠客伝 花と龍」。原作は、北九州市若松出身の芥川賞受賞作家、火野葦平が両親をモデルに描いた「花と龍」。名だたる俳優陣によってこれまで7度も映画化された名作である。鑑賞するにもかなり覚悟が必要だった。大きな理由は二つ。私が任俠(にんきょう)映画に明るくないこと、舞台が若松であり身近すぎることだ。鑑賞の記録を残すことで、双方を愛する方に何か失礼があってはいけないと、勝手に身をこわ張らせていた。だが、実際観るとどうだろう。聞きなじみのあるイントネーションは登場人物の心情や表情を生々しく...
波多野菜央
2023.12.02