西宮市大谷記念美術館にて行われた追悼特別展「高倉健」の看板 2018年4月撮影

西宮市大谷記念美術館にて行われた追悼特別展「高倉健」の看板 2018年4月撮影

2022.4.23

美術館から見た高倉健 西宮市大谷記念美術館学芸員・下村朝香さんが見た「俳優と時代」

2021年生誕90周年を迎えた高倉健。
昭和・平成にわたり205本の映画に出演しました。
毎日新聞社では3回忌の2016年から約2年全国10か所で追悼特別展「高倉健」を開催しました。
その縁からひとシネマでは高倉健を次世代に語り継ぐ企画を随時掲載します。
Ken Takakura for the future generations.
神格化された高倉健より、健さんと慕われたあの姿を次世代に伝えられればと想っています。

ひとしねま

下村朝香

「美術館から見た高倉健」と題して、追悼特別展「高倉健」巡回の美術館の学芸員から見た高倉健やその作品を語った記事を再掲載します。
2回目は西宮市大谷記念美術館学芸員・下村朝香さん執筆の5回シリーズ一挙公開です。

2018年04月27日掲載

1 非常線(1958年) 

日本を代表する俳優・高倉健は1931(昭和6)年、福岡県中間市に生まれ、2014年、83歳で亡くなるまで、生涯で205本の映画に出演しました。56年に銀幕デビュー、12年公開の「あなたへ」が最後の出演作となりました。本展覧会では、高倉健が出演した205本全てから抜粋された映像を、モニター、プロジェクター合計29台で映像展示します。
大学卒業後、希望する就職がかなわずいったん郷里へ戻った高倉健は、芸能事務所のマネジャー採用の面接に行った喫茶店で、マキノ光雄(当時の東映専務)にスカウトされます。55年、東映に入社、翌年「電光空手打ち」の主役でデビューを果たしました。当時の東映には、時代劇専属の俳優は多数在籍していましたが、現代劇の俳優は少なく、スター候補となる人材を探していたのです。
高倉健がデビューした56年は、経済白書が「もはや戦後ではない」と記述し、その言葉が流行した年であり、石原裕次郎がデビューし、新世代のシンボルとして「太陽族」が注目された年でもありました。日本経済の成長とともに、日本映画が量産されたこの時代、東映では専属俳優が求められ、高倉健の存在はうってつけだったのです。
デビューの年に11本の映画に出演、翌年には10本というハイペースで出演。戦前からの大スター・片岡千恵蔵と共演、また人気歌手・美空ひばりとも「青い海原」で共演して以来、美空主演の「べらんめぇ芸者」シリーズへも出演するなど、映画量産体制の一翼を担う俳優として出演映画本数を重ねました。
58年に公開された「非常線」は無実の罪で追われる男を描いたアクション映画。高倉健は銀行ギャングの容疑者として疑われた千代太役を演じ、犯罪者にでっちあげられた青年の心理を好演しました。
 
18年05月02日掲載

2 昭和残俠(きょう)伝 唐獅子牡丹(1966年) 

高倉健がデビューした2年後の1958年、映画観客人口が11億人を超えました。映画は娯楽の王者であり、映画産業は第二の映画黄金時代を迎えていました。この年に高倉健が出演した映画は13本、これは彼にとって年間映画最多出演回数となりました。
高校時代にはボクシング部、大学時代は相撲部に属するなど、実際にスポーツマンだった高倉健は、身長180センチを超える恵まれたスタイルを生かし、スポーツマン、学生、サラリーマンと役柄こそ異なりますが、熱血青春映画のアクションシーンを次々と演じました。
しかしテレビの普及とともに映画は次第に衰退、61年には映画観客人口がピーク時の半分へと減少します。映画不況が始まったこの頃、東映は高倉健と鶴田浩二のコンビによる「人生劇場 飛車角」で任俠(にんきょう)映画ブームを起こします。そして、64年「日本俠客伝」の大ヒットで、高倉健は任俠スターとして歩み始めたのです。
「日本俠客伝」、「網走番外地」に次ぐ第三のシリーズが65年公開の「昭和残俠伝」。全9作で、高倉健演じる主人公花田秀次郎と池部良演じる風間重吉の名コンビで知られています。1作目は第二次世界大戦後の東京・浅草を舞台に露天商の世界が描かれていますが、2作目以降は時代設定を昭和初期とし、役柄も「やくざ」へと変更しています。
毎回物語の内容も場所も異なりますが、勧善懲悪のパターンは共通。2人の道行きのシーン、高倉健の背中の鮮やかな「唐獅子牡丹」の刺青、高倉健が歌う主題歌が定番となった本シリーズは、一種の様式美を完成させたと言っても良いでしょう。「昭和残俠伝 唐獅子牡丹」は66年製作の第2作目です。
 
18年05月05日掲載

3 神戸国際ギャング(1975年) 

1968年、GNPが世界2位となり、日本はアメリカに次ぐ経済大国になりました。70年には、高度経済成長を成し遂げた日本の象徴的なイベントとして大阪万博が開催され、時代は大きく変化していきます。映画界でも高倉健と多数共演した藤純子が72年に引退。またこの頃、石原裕次郎や勝新太郎が、活躍の場を映画からテレビに移すなど、映画の世界にも変化が現れました。
60年代に「日本俠客伝」、「網走番外地」、「昭和残俠伝」の三大シリーズで任俠(にんきょう)スターとして絶大な人気を博した高倉健。68年には、任俠映画が質量ともにピークに達し、高倉健は主演三大シリーズに加えて、「俠客列伝」、「博徒列伝」などの東映オールスター作品にも出演します。しかしシリーズ化された任俠映画は、次第にマンネリズムを起こし、観客が離れていきます。71年には「日本俠客伝」シリーズが11作目「刃」で、72年には「網走番外地」(「新」も含む)シリーズが18作目「嵐呼ぶダンプ」、「昭和残俠伝」シリーズは9作目「破れ傘」で、いずれもシリーズに終止符を打ちました。
これまでのクラシカルな任俠映画が終わりを迎え、73年には深作欣二監督、菅原文太主演の「仁義なき戦い」が封切られ、爆発的な人気となりシリーズ化されていきます。東映映画の主流は、これまでの義理人情を貫く主人公が登場する任俠映画から、実録やくざ映画へと移行していったのです。その流れの中で高倉健も実録やくざ映画「山口組三代目」「三代目襲名」などに出演します。
またこの頃、高倉健の活動も過渡期に入り、人気劇画原作の「ゴルゴ13」、アメリカ映画「ザ・ヤクザ」など多岐にわたる作品に出演しました。「神戸国際ギャング」は実在のやくざ菅谷政雄をモデルに、戦後の闇市が立ち並ぶ神戸を舞台にした作品。本作は高倉健が東映専属俳優として出演した最後の作品となりました。

18年05月09日掲載

4 君よ憤怒の河を渉れ(1976年) 

1955年、東映ニューフェース2期生として東映に入社し、翌年、「電光空手打ち」でデビューした高倉健は「神戸国際ギャング」(75年)を最後に東映を退社し、独立しました。高倉健が生涯で出演した映画は205本、そのうち183本が東映在籍中の作品であり、出演映画の約90%が東映時代に撮影されたことになります。
高倉健が東映退社後、最初に出演した映画が76年公開の「君よ憤怒の河を渉れ」です。本作は、戦後の日本映画をリードした大映の永田雅一が、大映倒産後にプロダクションを設立し、プロデューサーとして映画界復帰を果たした作品で、制作費は当時としては破格の1億5000万円をかけたと言われています。監督は「新幹線大爆破」と同じく佐藤純彌。西村寿行の同名の小説を映画化したものです。
高倉健は身に覚えのない犯罪で追われる検事の杜丘を演じ、彼を追う矢村警部を原田芳雄が演じました。権力闘争に巻き込まれ、犯人に仕立て上げられた主人公が、無実を証明するために逃亡する物語であり、ロードムービー的な要素も含むサスペンス・アクション。劇中、「法律の条文だけで裁いてはいけない人間の行為があること。法律では裁くことができない大きな壁があることもわかった」という高倉健のセリフがあります。検事という権力の中にいた人物がアウトサイダーになることで、世の中の矛盾を痛感するこの役柄に、東映という組織から離れアウトサイダーとして生きていこうとする高倉健の思いが重なる作品です。
本作は、中国で「追捕」というタイトルで文化大革命後初めて公開された外国映画として大ヒットしました。また2017年にはジョン・ウー監督によって本作のリメイク「追捕 MANHUNT」が中国で公開。リメーク版では矢村警部の役を福山雅治が演じ、18年には日本でも公開されました。
 
18年05月11日掲載

5 鉄道員(ぽっぽや)(1999年) 

東映退社後、フリーとなった高倉健は1970年代から80年代には1年に約1本のペースで、そして90年代には3本の映画に、その後、2000年以降は12年の遺作「あなたへ」を含め3本の映画に出演しました。晩年を迎えた高倉健は、慎重に吟味し出演作品を決めていたのでしょう。「鉄道員(ぽっぽや)」の出演について、当初は気乗りしなかった高倉健ですが、かつて共に苦労した東映スタッフたちの定年が間近になり、彼らが「最後に記念写真(映画のクランクアップ時に関係者全員が集まって一緒に撮る写真)を健さんと一緒に撮りたい」と言っているのを聞き、出演を決めたそうです。
東映を辞した高倉健は、「動乱」(80年)以来、18年ぶりに、故郷ともいうべき東映東京撮影所へ足を踏み入れました。この時、昔を思い出して、「走馬燈のごとく頭の中でグルグルと絵が回った」といいます。また製作発表記者会見で高倉健は、素晴らしいスタッフとキャストに恵まれたことへの感謝、懐かしい撮影所、衣装合わせで感慨無量になったことを述べ、「一生懸命、燃焼しようと思っています」と、この映画への意気込みを語りました。
「鉄道員(ぽっぽや)」の撮影現場では、「生きることの哀(かな)しさ、切なさを知ったスタッフたちが自分の仕事を黙々とこなしていた」と高倉健は述懐しています。その切ないほどに一生懸命に生きる彼らの姿、間もなく定年を迎え人生をささげた仕事場から去らなければならない彼らの名残惜しさを、高倉健は自身が演じる北海道のローカル線の終着駅の駅長・乙松役に重ねていたのかもしれません。
20世紀も終わりに近づき、時代が昭和から平成へと移って11年目になろうとしていた99年に公開された本作を通して、高倉健は自分の時代が終わりに向かっていることを感じずにはいられなかったことでしょう。

あなたへ

高倉健、205本の出演作にして遺作。亡くなった妻の思い出を胸に富山から長崎へと旅するロードムービー。富山県の刑務所で指導技官として働く英二(高倉健)。そんな英二のところに亡くなった妻・洋子(田中裕子)が生前にしたためた手紙が届く。そこには故郷・長崎の海に散骨してほしいと書かれていた。英二は生前、洋子が語らなかった真実を知るために退職して、車で長崎へと向かった。富山から長崎へ。道中、さまざまな人々と交流するうちに、妻との思い出がよみがえってくる。(追悼特別展「高倉健」図録より)

電光空手打ち

高倉健のデビュー作にして初主演作の青春空手映画。舞台は沖縄。勇作(高倉健)は沖縄空手の師匠・名越義仙(山形勲)の弟子として日夜修行に励んでいる。空手の大会が東京で行われることになって、沖縄代表に義仙が指名される。敵対する流派の怒りが収まらず妨害を仕掛け、義仙を擁護する師匠・空典(加藤嘉)と娘の志那子(浦里はるみ)も襲われる。しかし、義仙は復讐を認めなかった。勇作は愛する志那子を残して、東京へ旅立つ。(追悼特別展「高倉健」図録より)

青い海原

た同僚から貯金通帳を預かっており、娘はるみ(美空ひばり)に渡そうと、彼女を預かっている信造(宇佐見諄)を訪ねる。だが、信造の乗る艀はしけが火災を起こし、膨大な借金を抱えることに。見かねた助手・三郎(春日八郎)ははるみを狙っている酒崎(山口勇)から借金をしてしまう。すべてを知った健次ははるみを救うべく酒崎一味と対決する。(追悼特別展「高倉健」図録より

非常線

無実の罪で追われる男を描いたクライム・アクション。銀行ギャングの容疑者として疑われた千代太(高倉健)は無実を主張して、ホテルの掃除夫をしている父(藤田進)と恋人・夏子(故里やよい)の前から姿を消した。一方、暴力団のボス・牛島(菅井一郎)の娘・葉子(森美代志)は父の仕事を嘆いて自殺未遂するが千代太に救われていた。やがて葉子を探す牛島は千代太を見つけて発砲、千代太は倒れるようにして父の元へ帰る。(追悼特別展「高倉健」図録より)

人生劇場 飛車角

戦前・戦後を通して何度も映画化されている「人生劇場」を、鶴田浩二=飛車角、高倉健=宮川コンビで映画化。横浜の遊女だったおとよ(佐久間良子)と逃げてきた飛車角。小金親分(加藤嘉)の世話で深川の裏町に住むことになったが、小金親分と敵対する文徳を一宿一飯の恩義で殺害、警察に自首した。これはある者が仕組んだ謀略で、小金親分やおとよにも危機が迫る。おとよは逃走するが、偶然、宮川に救出してもらい深い仲になる。おとよが恩義ある飛車角の愛人だと知り愕然とする宮川。(追悼特別展「高倉健」図録より)

日本俠客伝

「日本俠客伝」シリーズ1作目。``東映任侠映画``のスター高倉健が誕生した記念すべき作品。深川木場。木場政組の組長が病死したため新興やくざ沖山運送がその勢力を伸ばし始めた。いきり立つ子分たちだったが姐さん(藤間紫)が挑発に乗らぬようにきつく言い聞かせていた。そんな時、小頭の辰巳の長吉(高倉健)が除隊して戻ってきた。一方、沖山(安部徹)は警察署長、代議士まで抱え、悪辣な手段で木場政を攻撃、それに対して、客分の清治(中村錦之助)が単身、沖山組に殴り込み惨殺された。ついに長吉が立ち上がった。(追悼特別展「高倉健」図録より)

網走番外地

高倉健の代表的シリーズとなる「網走番外地」第1作。やくざの橘真一(高倉健)は前科5犯の権田(南原宏治)と二人一組の手錠につながれて網走刑務所に来た。ある日、山奥に作業に入るが、権田は手錠で橘とつながれたまま護送トラックから落ちて脱走。脱走途中で線路に遭遇し二人をつないでいる鎖を線路にのせ汽車に切らせようとした。しかし、権田が反動で谷間に落下。橘は保護司の妻木(丹波哲郎)とともに権田を病院に運んだ。(追悼特別展「高倉健」図録より)
「網走番外地」 Blu-ray&DVD発売中 各3,080円(税込) 販売:東映 発売:東映ビデオ 

昭和残俠伝

「日本侠客伝」、「網走番外地」に次ぐ第3のシリーズ。ラストの池部良との``道行き``もほぼ定番となる。敗戦直後の浅草。復員してきた寺島清次(高倉健)は神津組の跡目を継ぎ、露天商街で新しいマーケットの設立に力を注ぐ。かねてから神津組の縄張りを狙っている新興やくざの新誠会は妨害を繰り返し、ついにはマーケットに放火する。我慢の限界を過ぎ、怒りが爆発した寺島は客人の風間重吉(池部良)とともに新誠会に殴り込みをかける。(追悼特別展「高倉健」図録より)

製作年 : 1965

監督 :

昭和残俠伝 唐獅子牡丹

シリーズ第2作。以下、次作の第3作目を除きシリーズ第9作まで役名は<花田秀次郎>となる。宇都宮の石切り場を縄張りにする榊組は、親分を花田秀次郎(高倉健)に殺されてから新興の左右田組に押され気味である。出所した花田は罪の償いとして榊組に草鞋を脱いだ。榊組に陸軍省から石1000トンの注文が入った。手段を選ばぬ非道さで妨害する左右田組。ある日、榊組の元幹部・畑中(池部良)が満州から帰還する。花田と畑中の思いは一緒だった。二人は怒りの剣を抜いて左右田組に殴り込んだ。(追悼特別展「高倉健」図録より)

製作年 : 1966

監督 :

俠客列伝

東映オールスターによる「列伝」シリーズ。明治40年、賭博行為禁止条例など新刑法が施行されるのを機に、関東・官制の親文衆は日本大同会を結成。会長には天神一家の清水(河津清三郎)の口利きで柳瀬子爵、世話人に小田原酒匂一家の半次郎(菅原謙二)が指名されたが、やがて半次郎は清水に殺害される。さらに清水は草鞋を脱いでいた浅次郎(鶴田浩二)に半次郎の部下の伊之助(高倉健)を殺すよう命じた。(追悼特別展「高倉健」図録より)

博徒列伝

昭和の初期、大木戸一家の若松((鶴田浩二)は服役するために二代目を弟の川田(木下実)に譲った。悪辣な監獄一家の金光はいやがらせを重ね、大木戸の縄張りである芝浦の工事現場を奪う。さらに三次(若山富三郎)や芸者勝弥(藤純子)の隠れた協力で、敵対する富士上(高倉健)と和解した若松に闇討ちを仕掛ける。そしてとうとう川田を殺された若松は、富士上の助勢を得て金光に殴り込みをかける。(追悼特別展「高倉健」図録より)

日本俠客伝 刃(ドス)

シリーズ11作で最終話。明治20年、金沢に流れてきた松吉(高倉健)は空腹で動けなくなったところを芸者の小芳(十朱幸代)に救われた。松吉は黒兵衛(辰巳柳太郎)が経営する北陸逓送で働く。一方で博徒上がりの本堂(渡辺文雄)が仕切る政治団体・救国社が代議士・青山(大木実)の命を狙っていた。
松吉が金沢を去って5年。選挙で苦戦する青山に、松吉が加勢。やがて本堂が青山を傷つけ、ついに松吉の怒りが爆発する。(追悼特別展「高倉健」図録より)

新網走番外地 嵐呼ぶダンプ仁義

シリーズ第8作で最終話。勝治(高倉健)と五郎(田中邦衛)は網走刑務所を出所して仲間の北野の妻・冴子(生田悦子)のいる北野土木を訪ねた。冴子に一目ぼれした勝治はそこで働く。北野土木の仕事を妨害する大沼土木の熊吉(山本麟一)は、冴子に横恋慕している大沼(金子信雄)を動かして冴子を営業停止に追い込む。五郎と三太郎(南利明)が大沼に囚われダンプ仲間のゆう子(工藤明子)が救いに行くが殺される。ついに勝治が立ち上がった。(追悼特別展「高倉健」図録より)

昭和残俠伝 破れ傘

シリーズ第9作で、最終話。秀次郎(高倉健)は兄弟分の寺津力松(安藤昇)を訪ねるが、丁度、天神浜一家との抗争中だった。4年後、秀次郎は初恋の人・お栄(星由里子)を探し続けていた。そして新潟。寺津は会津若松の鬼首(山本麟一)の妹おしま(鮎川いずみ)と結婚、鬼首は東北の制覇を目論んでいた。お栄は元天神浜一家の代貸で今は堅気の風間重吉(池部良)と結婚。やがて鬼首は寺津を切り、秀次郎に友情を感じている晴雨組長・弥三郎(鶴田浩二)を殺害。秀次郎と重吉は鬼首の籠る寺に殴り込みをかけた。(追悼特別展「高倉健」図録より)

仁義なき戦い

深作欣二監督、菅原文太主演で一世を風靡したシリーズの第1弾。義理人情の任侠路線から、殺伐とした暴力シーン、実在のヤクザの抗争を実録路線としてリアルに描いた。戦後山守組組員・広能昌三(菅原文太)の目を通した広島呉抗争を描く。

山口組三代目

日本やくざ史上最大の組織をつくりあげた山口組三代目・田岡一雄の伝記映画。徳島の寒村に生まれた田岡(高倉健)は、神戸で山口組の下っ端となりやがて二代目・山口登(丹波哲郎)に目をかけられる。広沢虎造の興行を成功させる一方、対抗組織との抗争では体を張り刑務所入りするなど、徐々に二代目の信用を得ていく。九州石政組との抗争では二代目がめった斬りにされる。田岡はこの事件を獄中で歯嚙みしながら知るのだった。(追悼特別展「高倉健」図録より)

製作年 : 1973

三代目襲名

「山口組三代目」の続編。田岡(高倉健)が服役していた昭和15年7月、山口組二代目・山口登は荒政組に斬られ、入院。山口は「田岡を三代目に」と言い残して息を引き取る。18年、田岡は恩赦で釈放される。終戦。荒くれ者が無法ぶりを発揮すると、警察も山口組自警団に警護を依頼する。田岡は荒くれ者たちと凄惨な戦いを演じ、山口組の名は広く知れ渡る。なお、当初第3部「山口組三代目・激突編」が予定されていたが製作中止となった。(追悼特別展「高倉健」図録より)

製作年 : 1974

出演 :

ゴルゴ13

国際的な不死身のスナイパー・ゴルゴ13ことデューク・東郷(高倉健)を主人公にした人気漫画の1回目の映画化。ゴルゴ13の今回の仕事のターゲットは、中近東を根城に麻薬、人身売買のシンジケートを作り上げているボスのボア。依頼したのはある国の秘密警察で、すぐにイランに飛んだ。そしてゴルゴ13は、次から次へと敵の繰り出す殺し屋と対決しながら、徐々にボアを追い詰めていくのだった。(追悼特別展「高倉健」図録より)

製作年 : 1973

出演 :

ザ・ヤクザ

2本目のアメリカ映画出演作。ロサンジェルスで海運会社を営むタナーの娘が日本滞在中に東野組に誘拐された。組長の東野(岡田英次)タナー間で交わされた武器売買契約をタナーが無視したからだ。タナーは旧友のハリー(ロバート・ミッチャム)に相談した。ハリーは面識のある田中(高倉健)に娘の救出を依頼する。今は堅気ではあるが了解した田中は娘を捜索する。一方、ハリーはかってつき合っていた英子(岸恵子)と再会した。英子は田中の妻だったが、ハリーに受けた恩から二人は兄妹を名乗っていたので。(追悼特別展「高倉健」図録より)

神戸国際ギャング

``無国籍時代``の神戸を舞台にギャングたちの抗争を描く。戦後すぐの神戸。無法者たちが横暴を極めていた時代、雑草のように誕生した男女混成のギャング団があった。ボスは気が荒いが情に弱い団(高倉健)、副首領は冷血漢の大滝(菅原文太)、そして男勝りのマキ(真木洋子)など、復員兵あがりの命知らずの人間たちで構成されている。しかし、次第に団と大滝の歯車がかみ合わないようになり、ついに接収ダイヤをめぐって二派は対立する。(追悼特別展「高倉健」図録より)

君よ憤怒の河を渉れ

無実の罪を着せられた男が逃亡しながら犯人を追い詰めるサスペンス・アクション。検事の杜丘(高倉健)は身に覚えのない犯罪で追われている。罠だと感じながら逃走するのだが、彼を追うのは矢村警部(原田芳雄)。杜丘が追っていた偽証者は何者かに殺され、森の中で真由美(中野良子)と父親の善紀(大滝竜一)に救われる。やがて真犯人が病院の黒幕・長岡(西村晃)を射殺した。この作品は中国で文化革命後初めて公開された外国映画として大ヒット。2017年にはジョン・ウー監督によるリメークが中国で公開された。(追悼特別展「高倉健」図録より)
『君よ憤怒の河を渉れ』
 価格 DVD ¥3,080(税込)
 発売・販売元 KADOKAWA

新幹線大爆破

疾走する新幹線を<人質>にして身代金を請求する犯人たちの緻密な計画と人間像を描いたパニック映画。倒産した精密工場の社長・沖田(高倉健)、学生運動の過激派くずれ・古賀(山本圭)、沖縄から集団就職した青年・大城(織田あきら)の三人は失意と絶望で結ばれていた。彼らはスピードが落ちると爆破する爆弾を新幹線に仕掛け、500万ドルを要求した。新幹線の運行の責任者・倉持(宇津井健)は運転士の青木(千葉真一)と連絡を取り合う。しかし、二重、三重のサスペンスが新幹線を襲う。(追悼特別展「高倉健」図録より)

「新幹線大爆破」
Blu-ray&DVD発売中 Blu-ray:3,850円(税込)DVD:3,080円(税込) 販売:東映 発売:東映ビデオ

追捕 MANHUNT

西村寿行原作、佐藤純弥監督、高倉健主演「君よ憤怒の河を渉れ」のリメーク。無実の罪を着せられた弁護士と、それを負う刑事の逃走劇。チャン・ハンユー、福山雅治が共演。

鉄道員(ぽっぽや)

高倉健が17年ぶりに古巣東映の作品に出演した人情ドラマ。頑固で実直な鉄道員として気概と誇りを胸に生きた男・乙松(高倉健)が、定年目前となり自らの人生を振り返る。職務に忠実なあまり仕事優先の人生を送り、生後2カ月で死んでいった娘や、病で死んだ妻(大竹しのぶ)を看取ることができなかった。そして近く廃線となる幌舞線とともに一人で定年を迎えようとしている。そんな時、目の前に成長した娘(広末涼子)の姿が現れる。(追悼特別展「高倉健」図録より)

「鉄道員(ぽっぽや)」
Blu-ray&DVD発売中 Blu-ray:3,850円(税込)DVD:3,080円(税込) 販売:東映 発売:東映ビデオ

動乱 第1部 海峡を渡る愛/第2部 雪降り止まず

2・26事件を背景にひと組の男女の悲恋を描くメロドラマ。第1部「海峡を渡る愛」。昭和7年、仙台連隊。初年兵のい溝口(永島敏行)が脱走した。姉の薫(吉永小百合)が貧しさのために身を売ろうとしたからだった。溝口は銃殺されるが、追ってきた宮城大尉(高倉健)は父(志村喬)から金を借りて薫に差し出した。ますます開く貧富の差に怒った一部の将校が立ち上がった。5・15事件である。やがて宮城は朝鮮に飛ばされるが、そこで芸者となった薫と再開する。第2部「雪降り止まず」。東京。第一連隊に所属している宮城は朝鮮から連れ帰った薫と居を構えている。折から昭和維新の声が高まり、宮城はリーダーの一人に祭り上げられる。そして昭和11年2月26日、宮城たちの皇道派の青年将校が立ち上がった。(追悼特別展「高倉健」図録より)

ライター
ひとしねま

下村朝香

西宮市大谷記念美術館学芸員

カメラマン
宮脇祐介

宮脇祐介

みやわき・ゆうすけ 福岡県出身、ひとシネマ総合プロデューサー。映画「手紙」「毎日かあさん」(実写/アニメ)「横道世之介」など毎日新聞連載作品を映像化。「日本沈没」「チア★ダン」「関ケ原」「糸」など多くの映画製作委員会に参加。朗読劇「島守の塔」企画・演出。追悼特別展「高倉健」を企画・運営し全国10カ所で巡回。趣味は東京にある福岡のお店を食べ歩くこと。

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