時代の目:「ミッシング」 極限状態の母の心理、迫真
ある日突然、最愛の娘が行方不明に。「空白」の吉田恵輔監督が、そんな現実の事件を想起させる事態に陥った母親の姿を見すえたサスペンスフルな人間ドラマだ。 娘の失踪から3カ月後。母親の沙織里(石原さとみ)は、夫の豊(青木崇高)とともにビラまきなどの懸命の捜索を行っているが、世間の関心はすでに薄れかけている。そんなとき事件発生時の沙織里の行動が明らかになり、ネット上で猛批判を浴びてしまう。 匿名の利用者がSNSに書き込む主人公への誹謗(ひぼう)中傷の数々。沙織里の心のよりどころは取材を続けるテレビ局記者の砂田(中村倫也)だけだが、メディアは事件を視聴率稼ぎのネタとして扱おうとする。〝失踪〟を意味す...