さいとう たくみ
1981年8月21日 生まれ
俳優、映画監督※映画監督としてのクレジットは、本名の齊藤工。
「強くなりたい」 そんな願いを胸に、激動の1980年代をプロレスラーとして生き抜いた少女たちの物語「極悪女王」。2001年生まれの俗に言うZ世代の私から見た彼女たちの生き様は、なんとも破天荒でめちゃくちゃで涙が出てしまうくらいまばゆかった。 コンプラは一体どこぞへ? 女子プロレスが一世を風靡(ふうび)した800年代、プロレスが大好きだった少女がひたすらに夢を追い、「国民の敵」とまで言われるようになったヒール(悪役)・ダンプ松本として成り上がるまでを描いた物語。最近では、ドラマ「不適切にもほどがある!」など、私たちから見れば〝なんでもあり〟だった80年代を描いた作品で、Z世代...
青山波月
2024.10.19
今風に言えば「不適切」、いや「放送禁止」レベルのドラマかも――。Netflixで独占配信中の「極悪女王」(全5話)のことだ。1980年代、ブームに沸く女子プロレス界の〝最恐ヒール〟として君臨したダンプ松本(ゆりやんレトリィバァ)が主人公の物語。そのリングでの極悪ぶりも、作中でリアルに再現する……のだが、その再現具合がとんでもない。ダンプは88年に引退。現役時代の記憶はほとんどない40代の記者が、今作を通じて知ったダンプの「真実」を紹介する(以下、本編の内容に触れています)。 ダンプ松本の成功物語にとどまらず 「極悪女王」のあらすじはこうだ。主人公の松本香(かおる)は内職で家計を...
屋代尚則
2024.9.19
とある事件のぬれぎぬを着せられ、妻を亡くし藩を追われた浪人の格之進(草彅剛)は、娘のお絹(清原果耶)と江戸の長屋で2人暮らし。囲碁の名手で、碁会所で出会った商人の萬屋(國村隼)と碁仲間となったが、ある晩、萬屋の金が消え、格之進が盗んだと疑われる。一方、藩で起きた事件は碁敵の兵庫(斎藤工)の逆恨みが原因だと知り、格之進は妻のかたきを討つために、兵庫を捜す旅に出る。 落語の人情話を下敷きにした、あだ討ち時代劇。誇り高く激しさを秘めた武士の格之進を、草彅が風格たっぷりに好演。新境地を見せている。 囲碁が重要な要素となっているのも好感。近年の将棋人気と比べると、囲碁の存在感はもう一つ。勝負の展開が...
2024.5.17
長野県の寒冷地。スポーツインストラクターの賢二(窪田正孝)は、妻ひとみ(蓮佛美沙子)と幼い娘のために一軒家を購入。地下の巨大暖房設備で家全体を温める「まほうの家」は理想的な物件だった。しかし、マイホームでの生活が始まると、脅迫メールや変死事件など不可解な出来事が次々と起こる。 神津凛子の同名小説の映画化。新築の家に不安が広がっていく前半は、ホラーとミステリーが程よい具合。俳優の斎藤工が「齊藤工」名義で監督しているが、長編デビュー作「 blank13 」以来、一作ごとに人間ドラマの奥行きを広げている。本作でも明るい色調の中に不穏さを忍ばせる演出は見事。注目すべきは俳優陣で、「春に散る」でストイ...
2023.9.01
映画を撮るのが楽しくてしょうがない。公開中の新作「零落」は「原作を本屋で読んで絶対映画にしようと思った」とほれ込んで、自ら原作者の浅野いにおに映画化を打診し、主演の斎藤工とも直接出演交渉。撮影現場も無駄なく楽しくと、スタッフの負担軽減を図る優良監督だ。 「東京・赤坂のTBSの前にあった書店に並んでいて、『零落』というタイトルと帯に描かれた目にくぎ付けになった」。原作漫画の帯には登場人物の1人、〝猫の目〟をした女性、ちふゆの目元が描かれている。「絶対映画にしようって」 「作るのに必死だった」 しかし、まとまりかかった出資話が白紙に戻るなど、道は平坦(へいたん)ではなかった...
勝田友巳
2023.4.04
浅野いにおの漫画「零落」を映画化した。孤独と憂鬱、いらだちの中でもがく漫画家の姿を赤裸々に描いた。映画はしだいに一漫画家の内面を超え、作品を生み出す表現者、仕事や生き方に苦悩する現代人の葛藤へといざなう。 長期連載を終えた漫画家深澤(斎藤工)は、「売れる」という価値観がはびこる現実に嫌気がさす。アシスタントと折り合いが悪く、編集者の妻(MEGUMI)との離婚にも直面する。仕事から逃避する中で、風俗嬢のちふゆ(趣里)との時間にすがり始める。 深澤が抱えるむなしさ、空虚感は愚かでぶざまにも見える。自己愛が強く、妻ら周りの女性には自身を分かってほしいだけ。ちふゆにのめり込むのは、深澤を傷つけない...
2023.3.17
「シン・ウルトラマン」(樋口真嗣監督)のなかでもっとも印象に残ったのは、神永新二(斎藤工)とメフィラス(山本耕史)がブランコに乗りながら対話をするシーンである【図1】。 【図1】 ジャングルジムでもすべり台でもない 子ども向けの遊具と、2人の「外星人」(劇中では宇宙人のことをこう呼ぶ)が地球の命運について話し合うという状況のギャップが魅力的なシーンであり、このあとの居酒屋のシーンと合わせて少なからぬ観客の興味を集めているようだ。 筆者は、ここで選ばれた遊具がほかならぬブランコであることに注目したい。公園の遊具といえば、ジャングルジムやすべり台やシーソーなどもメジャーだが、こ...
伊藤弘了
2022.6.08
漫画家大橋裕之の作品を連作短編集のようにまとめて実写映画化。竹中直人、山田孝之、斉藤工のクリエーティブな俳優3人が共同監督した。 ママチャリで「あてがないというアテを頼りに」南に向かう男(松田龍平)が人のいい漁師たちの世話になる話。存在しない自分の姉に関心を持ったクラスメートにうそをつき続けて親しくなる高校生、父(竹原ピストル)が通っていた高校に一緒に忍び込んだ少年が体験した不思議な思い出など、うそと秘密をベースにした小編が時に重なり合って描かれる。 とぼけた笑いとペーソス、切なさと懐かしさが波状攻撃のように押し寄せて、心地よい感覚が絶えない113分。どれももう少し後が見たいというところで...
2021.4.01
「もし男性が妊娠したら?」をテーマに、男女逆転生活やギャップをコミカルに描きながら、「妊娠」をきっかけに、今まで見えなかった社会に潜むさまざまな問題に直面した主人公が、奮闘しながらも徐々に周囲の人とそして自分自身を変えていく姿を描いた成長の物語。原作は坂井恵理による同名コミックス。
東京のとある児童養護施設で、さまざまな事情で親と離れて暮らす子どもたちの日々を見つめたドキュメンタリー。俳優として第一線で活躍する齊藤工が訪れたある児童養護施設で出会った子どもたちの目が忘れられず、「14歳の栞」(2021年)の竹林亮監督に本企画を相談したことでプロジェクトがスタートした。齊藤に加え、竹内も何度も施設を訪問、子どもたちと交流を重ねていきながら、彼らの思いや葛藤、そして成長を記録していった。 ©CHOCOLATE
1980年代にカリスマ的人気で女子プロレス旋風を巻き起こしたダンプ松本の知られざる物語を描く半自伝ドラマ。 企画・脚本・プロデュースに鈴木おさむ、監督は白石和彌。 80年代、男女の不平等や女性蔑視が問題視されずに当たり前だった時代の日本。 そんな時代と格闘し、日本中を熱狂させ空前のブームを巻き起こしたのは女子プロレスだった。 正統派プロレスラーとしての成功にあこがれながらもクビ寸前だったダンプ松本(ゆりやんレトリィバァ)が悪役に転身し、クラッシュギャルズとして日本中のスターへかけ上がる長与千種(唐田えりか)、ライオネス飛鳥(剛力彩芽)ら仲間たちとの友情と戦い、さまざまな代償を抱えながら日本史...
本作は、「ゴジラ」「ガメラ」「大魔神」シリーズをはじめ、数多くの怪獣造形を手掛けてきた村瀬継蔵が1970年代に香港のショウ・ブラザーズ社のプロデューサーに依頼され、書き留めたプロットを基に作られたオリジナルファンタジー作品。オリジナルコンセプトデザインを、東映特撮ヒーロー作品のキャラクターデザインだけでなく、深作欣二作品の美術デザインでも知られる高橋章。 怪獣ヤマタノオロチのデザインを、「ゴジラ」シリーズのデザイナー西川伸司が担当している。 時宮朱莉は、亡くなった祖父である特殊美術造形家・時宮健三のお別れの会で、特撮ファンである同級生の卓也と会い、2人は時宮の古い知り合いだという穂積と名乗る...
柳田の堪忍袋または碁盤割とも呼ばれる古典落語の名作「柳田格之進」を映画化。「彼女がその名を知らない鳥たち」(2017年)や「孤狼の血」(18年)を手掛けてきた白石和彌監督の初の時代劇となる。主演は、「ミッドナイトスワン」(20年)で第44回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した草彅剛。主人公・格之進の一人娘・お絹役を清原果耶が演じる。 一人娘のお絹と江戸の貧乏長屋で暮らす柳田格之進は、身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われた浪人の身だ。しかし、その実直な人柄は、かねてから嗜む囲碁にも表れ、嘘偽りない勝負を心掛けている。ある日、旧知の藩士により、冤罪事件の真相を知ら...
原作は、第13回小説現代長編新人賞を受賞した神津凛子のデビュー作である同名小説。「家」を中心に様々な思惑と怪異が折り重なるミステリーを映像化したのは、俳優であり、初長編映画監督作「blank13」(2018年)が国内外の映画祭で8冠を獲得した齊藤工監督。俳優としての齊藤の主演作「零落」(2023年)を手掛けた脚本家、倉持裕がジャンル映画の枠に捕らわれない恐怖と戦慄のシナリオを担当した。新居購入をきっかけに怪異へと巻き込まれていく主人公、清沢賢二を連続ドラマ「臨床犯罪学者火村英生の推理」で俳優として齊藤監督とタッグを組んだ窪田正孝が演じる。 愛する妻と娘と長野のアパートで暮らす清沢賢二は、一軒...
謎の組織SHOCKERから脱走した緑川ルリ子と本郷猛。組織は人体を改造し殺傷能力を強化する「昆虫合成型オーグメンテーションプロジェクト」を進めており、本郷はその最高傑作だった。ヘルメットをかぶることによって超人的な力を発揮する。計画を阻止しようとする政府の後ろ盾を得た本郷と緑川は、組織が次々と放つ刺客と対決する。 監督、脚本は、「エヴァンゲリオン」4部作の企画・原作や、「シン・ゴジラ」(2016年)の総監督、脚本を務めた庵野秀明。石ノ森章太郎の〝原点〟をリスペクトしつつ、新たなオリジナル作品として製作。本郷猛(仮面ライダー)を演じるのは池松壮亮、緑川ルリ子を浜辺美波、⼀⽂字隼⼈(仮面ライダー...
原作は、2017年に浅野いにおが小学館「ビッグコミックスペリオール」に連載した同名漫画。等身大の若者の葛藤を描いてきた作者が、ミドルエイジ男性の孤独な空虚感と、漫画を描きつづけることは誰かを傷つける所業なのかという漫画家の〝業〟に挑んだ作品。原作に竹中直人がほれ込み映画化を熱望、14年ぶりの単独監督作として実現させた。 元人気漫画家・深澤薫(斎藤工)は、8年間の連載が終了し、自堕落で空虚な日々を送っていた。読者からの酷評や売れ線を狙う担当編集者との食い違いで、予定していた新連載は延期になってしまう。単発仕事にもやる気が出ず、アシスタントからはパワハラを指摘され、多忙を極める敏腕漫画編集者の妻...
東映が創立70周年を記念し、総製作費20億円を投じたビッグプロジェクトで稀代の英雄、織田信長を描く。織田信長は木村拓哉、信長の正室・濃姫役には綾瀬はるかと、当代きっての人気俳優が演じる。脚本は「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ、「コンフィデンスマンJP」シリーズの古沢良太、監督は、NHK大河ドラマ「龍馬伝」や「るろうに剣心」シリーズの大友啓史と、大ヒットメーカー同士がタッグを組んだ。 本作は、織田信長と濃姫との出会いから本能寺の変までの33年間を、歴史的な出来事を追うだけではなく、群雄割拠の戦国時代に生きる信長の揺れる心情を繊細に描き出した。濃姫を迎え入れた那古野城から岐阜城、豪華絢爛な...
高視聴率を記録したTVドラマを映画化。竹野内豊が演じる自由奔放で型破りな裁判官・入間みちおと、黒木華が演じる上昇志向が強くロジカルなエリート裁判官・坂間千鶴の〝ちぐはぐコンビ〟が迷い、葛藤しながらも真実を追求していく。 公開:2023年1月13日 配給:東宝 ©浅見理都/講談社 ©2023 フジテレビジョン 東宝 研音 講談社 FNS27社
高校1年生の美枝子(藤野涼子)は、同級生の槙雄(青木柚)とある出来事をきっかけに仲良くなり、同じ居酒屋でアルバイトを始める。槙雄は永慈(中川大輔)と付き合い始めるが、周囲が2人の仲を引き裂こうとする。美枝子は2人のためにあることを決意し、3人の特別な関係は徐々に変化していく。そんな時、槙雄は幼なじみの朝人(兼近大樹)と偶然再会し‥‥‥。
巨大不明生物「禍威獣」が次々と日本に現れた。政府は禍威獣特設対策室を設立し、各部門の専門家を集め対策を講じていた。ある時現れた銀色の巨人が、禍威獣を撃退する。巨人はウルトラマンと名付けられた。さらに別の宇宙人が禍特対の前に現れ、ウルトラマンは敵だと進言する。
西村寿行原作、佐藤純弥監督、高倉健主演「君よ憤怒の河を渉れ」のリメーク。無実の罪を着せられた弁護士と、それを負う刑事の逃走劇。チャン・ハンユー、福山雅治が共演。
尾谷組と広島仁正界の抗争が沈静化して3年。呉原東署の刑事日岡は裏社会とも通じながら広島の治安を保っていた。しかし広島仁正会傘下、五十子会の上林が刑務所から出所し、五十子会会長を殺害した尾谷組への報復を開始。激しい抗争が再燃する。2018年の「孤狼の血」の続編。