この1本:「ストーリー・オブ・マイ・ワイフ」 愛の遍歴 重厚、精緻に
1942年に出版されたハンガリーの小説を、「心と体と」のイルディコー・エニェディ監督が映画化。20年代の欧州を舞台に一組の男女の遍歴を描く文芸調のメロドラマに、ヒロインを演じたレア・セドゥが現代の息づかいを吹き込んでいる。 貨物船の船長ヤコブ(ハイス・ナバー)が結婚を思い立ち、友人といたカフェで「最初に入ってきた女性と結婚する」と賭けをする。現れたリジー(セドゥ)はヤコブの唐突な求婚を受け入れて、結婚生活が始まった。 運命的に出会った2人が電撃的に恋に落ちる、なんてご都合主義の展開は、今どき誰も使うまい。しかしレア・セドゥなら話は別。謎めいた微笑と一瞬で表情を変えるまなざしに、ヤコブがとり...