特選掘り出し!:「ポゼッサー」 乗っ取られた意識の反撃
カナダの鬼才デビッド・クローネンバーグを父に持つブランドン・クローネンバーグ監督の長編第2作。主人公は特殊な端末によって他人の意識を乗っ取り、遠隔操作で暗殺の任務を遂行する秘密工作員タシャ(アンドレア・ライズボロー)。しかしある青年の意識に入り込んだ時、思わぬ誤算と反撃に直面してしまう。 いやはや、すさまじい映画である。ナイフや火かき棒を用いた激烈な殺人シーンに絶句。だが単なる残酷趣味ではない。家庭では妻で母親でもある主人公をセクシュアリティー、ジェンダーの視点から掘り下げ、抑圧された精神不安を血みどろの暴力として噴出させた着想に驚かされる。脳科学やバーチャルリアリティーなどをモチーフにした...