「田中絹代」記事件数
田中絹代の監督5作目。脚本は田中澄江。溝口健二監督の「夜の女たち」(1948年)で街娼を演じた田中が、売春婦たちの更生と社会的自立を描いた。1958(昭和33)年に売春防止法が完全施行されたが、法の網の目をくぐって春を売る女は後を絶たなかった。警察の取り締まりで検挙された彼女たちは、強制的に厚生寮か補導院へ送られた。その一つ、白菊婦人寮に収容された女性たちは更生への道を踏み出すが、社会は冷たく、差別や軽蔑のなか苦しい困難の日々が続いた。...
若月彰、中城ふみ子の原作を田中澄江が脚色した田中絹代の監督第3作。不幸な結婚生活に終止符を打ったふみ子は、勧められるままに詠んだ短歌が絶賛される。ふみ子は夫の実家から子供を連れ戻し東京で職を見つけようとするが、乳がんで札幌の病院に入院する。彼女の短歌は入選し、新人作家として歌壇の話題となっていたが乳房が切り取られる。手術後、ふみ子は元気だったが余命幾ばくもないことを知る。...
田中絹代の監督2作目。斎藤良輔、小津安二郎脚本。戦争で疎開した奈良に住みついた浅井家には、未亡人の千鶴、未婚の綾子、節子の3姉妹がいた。寺に間借りしている千鶴の亡夫の弟昌二は、節子と愛しあっていた。節子は、昌二の旧友で電気技師の雨宮と綾子を結びつけようと、偽の電話で2人を呼び出して月の出の公園で会わせたりする。3姉妹の恋模様をユーモアを交えて描いた。...
女優田中絹代の監督デビュー作。木下恵介脚本。復員兵の礼吉は、元恋人の道子のことを思い続けていた。道子が夫と死に別れ上京していると聞いた礼吉は、戦友山路の世話で恋文代筆業をしながら道子の行方を捜していた。清純だった戦前の姿を思い描いていた礼吉は、ある日、アメリカ兵相手の洋妾に変わり果てた道子に出会う。...
満州国皇帝溥儀の弟、溥傑の妃、愛新覚羅浩の半生を、登場人物の名前を変えて映画化。満州皇帝の弟溥哲のもとに嫁いだ竜子は、慣れない境遇の中、溥哲からのいたわりと息子英生への愛情を糧に懸命に生きる。やがて日本の敗戦を迎え、竜子はソ連侵攻とともに捕らわれの身となった。脚本和田夏十、監督田中絹代、主演京マチ子と、時代を代表する女性映画人が結集した。...
千利休の娘、吟はキリシタン大名高山右近に思いを寄せていたが、右近は妻がありキリシタンの教えを破る気はなかった。吟は石田三成からの縁談をいやいや受け入れ、廻船問屋万代屋宗安に嫁いだ。豊臣秀吉が吟を見初めたことから、三成と宗安は自分たちの栄華のため、右近を陥れて吟を秀吉の側室に差し出そうとたくらんだ。...