この1本:「哀れなるものたち」 現代社会に鋭い風刺
「聖なる鹿殺し」「女王陛下のお気に入り」のヨルゴス・ランティモス監督が手がけたのは、ゴシックホラー調のフランケンシュタイン映画。皮肉なセリフと毒のあるユーモア、奇抜でグロテスクな描写、それに広角レンズや凝ったアングルで作られるけれんみたっぷりの映像。技巧を駆使した奇想天外な物語は、現代社会に鋭い風刺として突き刺さる。 ビクトリア朝時代のロンドン。天才外科医〝ゴッド〟バクスター(ウィレム・デフォー)の手によって死の淵からよみがえったベラ(エマ・ストーン)は、肉体は成人でも頭脳は赤ん坊同然。バクスターの屋敷に隔絶されたまま、知能が急速に発達する。常識や良識の束縛がないから純粋培養、好奇心と欲望の...