越後妻有のごちそう家ごったくの豚丼 撮影:宮脇祐介

越後妻有のごちそう家ごったくの豚丼 撮影:宮脇祐介

2023.7.27

新潟県・十日町市で「図書館戦争」の聖地巡礼の腹をみたすロケ飯発見! 越後妻有のごちそう家ごったくの豚丼

3度の飯より映画が好きという人も、飯がうまければさらに映画が好きになる。 撮影現場、スクリーンの中、映画館のコンフェクショナリーなどなど、映画と食のベストマリッジを追求したコラムです。

宮脇祐介

宮脇祐介

2000年から始まった新潟県・越後妻有の大地の芸術祭は、1999年から苗場で開催されるフジロックとともに中越地方の観光の推進力となっている。04年に起こった新潟県中越地震でブレーキがかかったものの、その後立ち上がった。そして、その推進力をさらに加速させたのが、13年公開映画「図書館戦争」から始まった映画・ドラマのメディアミックスシリーズ。ロケ地の十日町情報館の本棚の印象的な造形が聖地巡礼の目玉になっている。

 
そんなロケを支えたのが十日町市ロケ応援団の皆さんだ。「このフィルムコミッションは行政の力を借りない趣味の会」だと言うのがウーマンファーマーズジャパン共同代表取締役・福嶋恭子さんだ。日ごろは農業生産者、加工業者、女性農業者の課題解決コミュニティーの運営と大忙しの中、越後妻有のごちそう家ごったくを運営している。

 
十日町市はもともと機織りが盛んな町。友禅や絣(かすり)、縮(ちじみ)などを作っていた。福嶋さんの実家も代々機織りに関連する仕事につき「子供の頃は機織りの音を聞いて育った」そうだ。
そんな町育ちの福嶋さんが近隣の中条の兼業農家に嫁いだ。「農作業はしなくてよいと言う条件だったのだが、『手伝いましょうか』と一言発したことをきっかけに農業にのめり込んでいく」
 
「市場に出荷できない不ぞろいの野菜などを実家の十日町の敷地で週に3回売り出したらよく売れた」。町育ちの子の本領発揮だ。それをきっかけに農村生活アドバイザーに選出され、みそづくり、ささ団子作りなどを通して地域や農業の魅力をアピールした。
 
そんな仲間と大地の芸術祭を訪れたお客さんがご飯を食べる所が少ないということを解決するため、震災で閉めていた兄のお店を越後妻有のごちそう家ごったくとして再開させた。
 
メニューは地元の妻有ポークと野菜を使った料理が中心。「作り手の顔が見えるものを料理する」と言う。十日町市ロケ応援団にも入ってロケの食事も担当することになった。メニューは「豚丼、ロコモコ、とんかつなど。しっかりとしたボリュームで現場を応援したい」と提供は基本ケータリングで「現場で温かいものを出したいと思っている」そうだ。
 
十日町市ロケ応援団は民間のフィルムコミッションであるため、メンバーが変わらないのでリピートのロケ隊とは話が早い。気心の知れた間ではバーベキューを夕食に出し、現場のコミュニケーション作りに一役買ったこともある。
 
今年は映画「図書館戦争」が公開されて10周年を迎えたため、製作委員会と調整して4月29日から5月14日まで十日町情報館で特別展示を行ったところ2000人ものファンが訪れたと言う。
 
情報館へ写真撮影の許可を取りに行くと、撮影許可のストラップがどっさりとおかれていたのを見てハッとした。許可を取れば、図書館利用の人に迷惑がかからない限り館内を自由に撮影できる。何年たってもファンの熱量が保たれているのは映画とフィルムコミッションの間の良好な関係を感じさせる。「趣味の会」と言う福嶋さんの言葉が「好きこそものの上手なれ」という言葉に置きかわった瞬間だった。
 
ちなみに店名の「ごったく」とは十日町近辺の、独特の妻有言葉でイベントや冠婚葬祭などの際に人がたくさん集まり、お客様をおもてなしして親睦を深めあう行事をすることを「ごったく」すると表現することが多いとのこと。
 

☑人気ロケ飯

豚丼

地元の妻有ポークと野菜を使ったロケ飯のなかでも最も人気のある一品。基本は撮影現場でのケータリングで温かいものを提供する。ご飯はもちろん魚沼産コシヒカリ。副菜も工夫を感じる。みそ汁のみそも手作り。ボリューム満点でおなかいっぱいになること間違いなし。聖地巡礼の名物飯となっている。

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ライター
宮脇祐介

宮脇祐介

みやわき・ゆうすけ 福岡県出身、ひとシネマ総合プロデューサー。映画「手紙」「毎日かあさん」(実写/アニメ)「横道世之介」など毎日新聞連載作品を映像化。「日本沈没」「チア★ダン」「関ケ原」「糸」「ラーゲリより愛を込めて」など多くの映画製作委員会に参加。朗読劇「島守の塔」企画・演出。追悼特別展「高倉健」を企画・運営し全国10カ所で巡回。趣味は東京にある福岡のお店を食べ歩くこと。

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