毎日映コンの軌跡① 「センセーション」は看板倒れ
昭和10(1935)年、毎日新聞の前身「東京日日新聞」は、「全く未曽有の企て」で映画界に「旋風のようなセンセーション」を起こした。「全日本映画コンクール」の開催である。日本映画の向上を目的に、映画会社に呼びかけて未公開の新作を出品してもらい、一度に上映して審査し賞を決めようというのだ。映画はようやく音が付いたばかり。当時の大手4社が、日活「うら街の交響楽」(渡辺邦男監督)▽松竹「若旦那春爛漫(らんまん)」(清水宏監督)▽新興「男・三十前」(牛原虚彦(きよひこ)監督)▽PCL(東宝の前身)「放浪記」(木村荘十二(そとじ)監督)を出品した。 5月14日、東京・日本青年館で上映し、その場で審査した...