あしざわ あきこ
撮影監督。1951年生まれ、東京都出身。青山学院大学時代にジャン・リュック・ゴダールの「気狂いピエロ」を見て映画に強い関心を持ち、自主製作映画、ピンク映画やテレビコマーシャルの撮影に携わり、商業映画の世界に。「きみの友だち」「LOFT ロフト」「トウキョウソナタ」「わが母の記」「岸辺の旅」「散歩する侵略者」「海を駆ける」「子供はわかってあげない」など多数。2018年に紫綬褒章を受章。
日本の撮影現場にも女性が増えつつある。しかも、才能豊かで優秀な人が多いという。女性カメラマンの先駆けとなった芦澤明子さんは、「若手を育成して、後継者を養成することが不可欠」と説く。 手間がかかった海外でのフィルム撮影 --芦澤さんが撮影監督を務めた公開中のインドネシア映画「復讐は私にまかせて」は、フィルムで撮影したそうですね。 アクションが盛んなインドネシアでの撮影依頼に驚いたが、エドウィン監督がフィルムにこだわったことにもびっくりした。フィルム撮影が成功するには、演出家とカメラマンとお金を持っているプロデューサーが三位一体、一枚岩にならないとできないと思っている。今回...
鈴木隆
2022.8.25
自主映画、ピンク映画、テレビCMを経て、カメラマンとして一線に立つ芦澤明子さん。どんなフィールドに立ってもその現場を楽しむというしなやかさと、強じんな意志の力があふれている。8月20日公開のインドネシア映画「復讐は私にまかせて」でも、撮影地の風土と人々に溶け込んで、映画作りを楽しんだ。芦澤さんへのインタビュー2回目は、撮影監督としての作品への姿勢を聞いた。 「復讐は私にまかせて」 大変な時に、大変な顔をしないのがプロ --自主映画、ピンク映画の現場を経てCMに。 学生の時は自主映画をやって、ピンク映画の演出見習いは1年ぐらい、そのあと(ピンクの撮影を)1、2年やって、機材の豊...
2022.8.10
芦澤明子さんは、日本の撮影監督の第一人者。黒沢清、深田晃司、沖田修一ら日本映画界を代表する監督と組み、毎日映画コンクール、日本アカデミー賞、芸術選奨文部科学大臣賞、紫綬褒章など数々の受賞・章歴がある。ロカルノ国際映画祭金豹(きんひょう)賞(最高賞)を受賞したインドネシア映画「復讐は私にまかせて」でも撮影を担当した。女性撮影監督の先駆けとして、映画への思いを熱く語ってもらった。 「復讐は私にまかせて」の撮影現場でカメラをのぞく芦澤明子さん(右) 恋人と見た「気狂いピエロ」にポエムを感じて --映画の世界に入るきっかけは。 高校までは映画にあまり興味はなかったが、大学生の時にゴダ...
2022.7.27
映画の制作現場と食の関わりを追ったドキュメンタリー。ロケバスに積んである朝食のポパイのおにぎりと、映画における制作部という、現場では大いなる雑用係の組み合わせの物語。 ⓒ ジャンゴフィルム. All Rights Reserved.
江戸文化の裏の華である〝笑い絵〟ともいわれた春画の奥深い魅力を真面目に説く変わり者の春画研究者と、そのしっかり者の弟子という師弟コンビが繰り広げる偏愛コメディ。監督・脚本は、「月光の囁き」(1999年)や「害虫」(2002年)など、先鋭的な作品で映画ファンを唸らせてきた塩田明彦。主人公の〝春画先生〟こと、春画研究者の芳賀一郎を内野聖陽が演じ、芳賀から春画鑑賞を学ぶ春野弓子を演じるのは北香那。共演に柄本佑、白川和子、安達祐実を迎えた。本作は、映倫審査で区分【R15+】として指定を受け、商業映画として全国公開される作品としては、 日本映画史上初めて、無修正での浮世絵春画描写が実現した。 〝春画先...
原作は、第13回小説現代長編新人賞を受賞した神津凛子のデビュー作である同名小説。「家」を中心に様々な思惑と怪異が折り重なるミステリーを映像化したのは、俳優であり、初長編映画監督作「blank13」(2018年)が国内外の映画祭で8冠を獲得した齊藤工監督。俳優としての齊藤の主演作「零落」(2023年)を手掛けた脚本家、倉持裕がジャンル映画の枠に捕らわれない恐怖と戦慄のシナリオを担当した。新居購入をきっかけに怪異へと巻き込まれていく主人公、清沢賢二を連続ドラマ「臨床犯罪学者火村英生の推理」で俳優として齊藤監督とタッグを組んだ窪田正孝が演じる。 愛する妻と娘と長野のアパートで暮らす清沢賢二は、一軒...
監督は、「沙羅双樹」(2003年)、「0.5ミリ」(2014年)、「風の電話」(2020年)などをプロデュースした長澤佳也。家族をテーマに描く、オリジナル脚本のエンターテイメント時代劇。 森の中に暮らす家族がいた。元忍びの家長サル(宇野祥平)が専業主夫で家を守り、優秀な忍びの妻クモ(徳永えり)が稼いでいる。2人には、実子と連れ子、孤児の4人の子どもたちがいる。ある日、ひとりの老人(奥田瑛二)が峠に迷い込む。峠には侵入者を防ぐため、天狗(緒川たまき)という凄腕の狙撃手が派遣されていた。老人を発見した子どもたちは、危険を顧みず救出するが、記憶を失っていたこの老人は、謀反に遭った椿藩藩主の貴虎だと...
東映が創立70周年を記念し、総製作費20億円を投じたビッグプロジェクトで稀代の英雄、織田信長を描く。織田信長は木村拓哉、信長の正室・濃姫役には綾瀬はるかと、当代きっての人気俳優が演じる。脚本は「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ、「コンフィデンスマンJP」シリーズの古沢良太、監督は、NHK大河ドラマ「龍馬伝」や「るろうに剣心」シリーズの大友啓史と、大ヒットメーカー同士がタッグを組んだ。 本作は、織田信長と濃姫との出会いから本能寺の変までの33年間を、歴史的な出来事を追うだけではなく、群雄割拠の戦国時代に生きる信長の揺れる心情を繊細に描き出した。濃姫を迎え入れた那古野城から岐阜城、豪華絢爛な...
インドネシア発の恋愛&アクション映画。インドネシア映画界の俊英エドウィン監督が「トウキョウソナタ」「岸辺の旅」などの芦澤明子カメラマンと組んで第74回ロカルノ国際映画祭金豹(きんひょう)賞(最高賞)を受賞した。 ケンカに明け暮れるアジョ・カウィルは、クールで美しく伝統武術シラットの達人で女ボディーガードのイトゥンと出会う。2人は激しい決闘の末、情熱的な恋に落ちる。アジョは勃起不全のコンプレックスを抱えていたが、イトゥンの愛に救われて結婚し、幸せな時間が流れた。ある時、アジョから勃起不全の原因となった秘密を打ち明けられたイトゥンは復讐(ふくしゅう)を企てるものの、悲劇的な事態を招いてしまう。...