<ネタバレあり>まるでコンテンツ従事者の踏み絵のような作品である「ルックバック」 二次制作の功績にも理解と顕彰が必要だ
初期衝動 初期衝動が人生を造形していく素晴らしさと同時に、故に何かを失う酷薄さ、才能の邂逅(かいこう)とは必然であり、幸福でありながら残酷さと表裏であることを描いた作品。「バクマン。」はリアルな設定の上に描かれたファンタジーだったが、当作は人生の射幸と喪失があまりにも現実的で恐ろしい。自身にこんな喪失が訪れたら一体どうなるか――考えただけでそら恐ろしい作品である。 当作は一見、感性の離合を描いているようで、実はまったく逆のものだ。魂が引かれ合った者同士は、必ずもう一度再会をしようと、それぞれの時間を食(は)んでいく。その結末のひとつを描いている。同時にヒトの魂から出力されたものに対する理...

公野勉
2024.7.23