特選掘り出し!:「No.10」 斜め上行く啞然呆然の一作
かつて見たことがないほどユニークで刺激的な問題作、衝撃作を発見する。それはまさしく私たち映画ファンが世界中の作品を物色する醍醐味(だいごみ)の一つだが、知る人ぞ知るオランダの鬼才アレックス・ファン・バーメルダムが放った本作は、数年に1度出くわすかどうかという啞然呆然(あぜんぼうぜん)の一作だ。 演劇俳優のギュンター(トム・デュイスペレール)は新作舞台の稽古(けいこ)場に通いながら、演出家の妻である共演者との逢瀬(おうせ)を重ねている。その日常を何者かが監視するなか、不倫がバレたギュンターは劇団でひどい仕打ちを受けるが、彼の行く手にはさらなる信じがたい事態が待っていた。 小劇団の人間模様のも...