この1本:「墓泥棒と失われた女神」 効率より多面的楽しさ
タイパ、コスパ優先が日本の当世流なら、「こんなお話」と一言で説明しにくいアリーチェ・ロルバケル監督の映画は敬遠されそう。しかし、それではあまりにもったいない。楽しくておかしくて冗舌でわい雑、ロマンチックでちょっと悲しい。同じイタリアの巨匠フェリーニ監督に通じる一作。見た人それぞれが、「こんな映画」と味わってほしい。 1980年代、イタリア・トスカーナ地方の小さな町が舞台である。英国人の考古学愛好家アーサー(ジョシュ・オコナー)はダウジングで探し物を見つけ出す特殊な能力を持っていて、古代の墓の盗掘団の一員だった。刑務所から出て足を洗おうとしたのに、待ち受けた仲間に再び引き込まれてしまう。一方彼...