「室井慎次」が黒澤明、イーストウッドから〝盗んだ〟もの 次に見るべき1本への道しるべ
テクストとは、無数にある文化の中心からやって来た引用の織物である。(注1) あらゆる表現行為はつねに「盗用」と骨がらみである。およそ盗用でない表現など存在しない。いまここに書かれつつある私の文章とてその例外ではない。「盗用」がドギツク感じられるようなら「流用」や「奪用」でもいいし(いずれもアプロプリエーション[appropriation]の訳語である)、さらにソフトな表現を望むのであれば(バルトに倣って)「引用」としても差し支えない。そうしたければ「オマージュ」でも「パロディー」でも「パスティーシュ」でも「コラージュ」でも「アダプテーション」でも何でも、文脈に応じて銘々が好きな言葉をあてがえ...
伊藤弘了
2024.11.27