時代の目:「痛くない死に方」 最後の生を全うするため
「死に方」の映画である。避けては通れない人生の終末。つらいが、最後の生を全うするための患者と医師、家族を描き、「生き方」の映画にもなっている。 智美(坂井真紀)は末期のがん患者の父に、自宅での「痛くない在宅医療」を選択するが、苦しみ続けて死んでしまう。在宅医の河田(柄本佑)は自責の念を感じ、先輩の長野(奥田瑛二)に相談する。診断ミスを指摘され、長野の元で在宅医療を学んでいく。 前半の河田は痛い在宅医、後半は痛くない在宅医に変わる。教科書的に違いを見せて分かりやすい。河田の成長物語でもある。前半は患者の苦しみをリアルに映し、残酷で厳しい。後半の患者の本多(宇崎竜童)は逆に理想的だ。妻(大谷直...