チャートの裏側:テレビ発、客層の広がりは
昨年来、新型コロナウイルス拡大後の映画興行は、邦画アニメーションとテレビ局映画(実写)が支えてきたと言える。アニメはコア層の基盤が大きい。テレビ局映画はドラマ視聴者の多さと宣伝力の強さだ。ともに比較的若い世代が目立ったのが、このコロナ禍の特徴だった。 「劇場版シグナル長期未解決事件捜査班」は、後者の範疇(はんちゅう)に入る。関西テレビが中心になって製作した。フジテレビ系列だが、やはりフジとは作品のテイストが違う。国家権力の中枢が事件の鍵を握る。テレビ朝日の「相棒」のような〝社会性〟もふんだんに盛り込まれる。 だから本作は、観客の年齢層が高い部類に入る。ただ、この客層は今の状況ではヒットに限...