チャートの裏側:感情移入以上の「没入感」
最近、エンタメ施設などで、「没入感」という言葉がよく使われる。施設のさまざまな仕掛けを介して、訪れた人が体験型の高揚感を味わう。映画でも、その感覚があった。「猿の惑星/キングダム」だ。主人公の猿の側に強く入り込む自身がいた。精神の「没入感」である。 本作は、主人公ノアの堂々たるビルドゥングスロマン(成長譚)だった。これが、「没入感」の大きな理由だ。ノアは、住み慣れた狭い地域のことしか知らない。エコーと呼ばれる人間は、災いをもたらす害虫との認識だ。別の猿軍団の襲撃に遭い、ノアの冒険が始まる。 ノアは実に聡明(そうめい)だ。先人の教えから、歴史や伝承が記された本の価値を知る。自身の部族とは全く...