映画とは別物でも同様に恐ろしい 原作小説「関心領域」を読み解いた
アウシュビッツ強制収容所から壁を1枚隔てただけの場所で、幸せに暮らす家族を描いた「関心領域」が劇場公開中である。そして映画の公開と合わせて、原作小説マーティン・エイミス著「関心領域」の邦訳版(北田絵里子訳)も、公開同時期に早川書房より発売となった。 この小説は、大まかな舞台設定や主要登場人物は映画と共通しているものの、内容ははっきり言って別物だ。登場する人間の数も、共通している人物でさえもそのキャラクターの造形がまるで違う。しかしこの作品の根幹ともいうべき、「無関心さ」を浮かび上がらせ見る者をぞっとさせるような視点の巧妙な演出は、映画と原作の両方にある重要な共通点だ。本稿では映画と原作小説の...
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芦田央
2024.6.20