毎日映画コンクールは、1年間の優れた映画、活躍した映画人を広く顕彰する映画賞。終戦間もなく始まり、映画界を応援し続けている。第77回の受賞作・者が決まった。
2023.2.14
表彰式に輝く喜び 「人生で幸せな瞬間」窪田正孝:第77回毎日映画コンクール
受賞者あいさつ
第77回毎日映画コンクール表彰式が14日、東京都目黒区のめぐろパーシモンホールで行われた。2022年の日本映画界を代表する受賞者が集まり、トロフィーを手に喜びと感謝を語った。
アニメーション映画賞 「高野交差点」伊藤瑞希監督
大きな賞をありがとうございます。妻や友人の協力を得て、1人ではできなかった。特に原案、脚本の中田秀人さんなくして成り立たなかった。個人製作のアニメにスポットライトを当ててくれた。(中田秀人は「電信柱エレミの恋」で第64回毎日映コン・大藤信郎賞)
受賞インタビュー 伊藤瑞希
大藤信郎賞 「犬王」湯浅政明監督
スタッフの皆さん、いただきました。おめでとう、ありがとう。犬王、友有、原作者の古川日出男さん、おめでとう、ありがとう。ファンの皆さん、おめでとう、ありがとう。
受賞インタビュー 湯浅政明
ドキュメンタリー映画賞 「スープとイデオロギー」 ヤン ヨンヒ監督
次回作として劇映画の準備をしています。家族から解放されて、自由に物語を作っていきたい。今後ますます成長したい。
受賞インタビュー ヤン ヨンヒ
TSUTAYA DISCAS映画ファン賞「ちぇりまほ THE MOVIE」 風間太樹監督
深夜ドラマから始まり、国内外のファンの熱量に押されて映画化が実現した。人の心に寄り添いたいという思いがあって、成長したと思う。
受賞インタビュー 風間太樹
スポニチグランプリ新人賞 番家一路「サバカン SABAKAN」
賞とかあんまり分からないですけど、うれしいです。天才、金澤知樹監督のおかげです。楽しんで仕事ができる俳優になりたいです。
受賞インタビュー 番家一路
同 嵐莉菜「マイスモールランド」
演じるのも初めてで、思い出深いかけがえのない、大切な作品になりました。作品を通して自分が知ったこと、感じたことをスクリーンを通して伝えられる俳優になれるよう精進します。
受賞インタビュー 嵐莉菜
撮影賞 月永雄太「ケイコ 目を澄ませて」
(撮影中のため欠席。メッセージを寄せた)スタッフ、キャストの仕事ぶりがすばらしく、こんなに楽したことはない。ファインダーをのぞくだけでよかった。チームワークの大切さを痛感した。
受賞インタビュー 月永雄太
美術賞 今村力、新田隆之 「死刑にいたる病」
1965年にこの世界に入り、毎日映コンで2度目の受賞。価値ある賞と思っています。(今村)
今村さんのあふれるイメージの具現化に尽力できて誇りに思います。(新田)
受賞インタビュー 今村力、新田隆之
音楽賞 青葉市子「こちらあみ子」
映画音楽は初めてでドキドキしましたが、楽しめた。原作から好きで、あみ子は特別な存在。人の中にすんでいる気持ち、感情が、どのように仕草になって世界に出ていくか、どう生きていくかを振り返ることができる、宝物のような映画です。
受賞インタビュー 青葉市子
録音賞 川井崇満「ケイコ 目を澄ませて」
勇気と希望をいただいた。勘違いすることなく、自信を持って映画と向き合いたい。スタッフのおかげでここに立っていると思います。
受賞インタビュー 川井崇満
脚本賞 早川千絵「PLAN 75」
ノミネートを聞いて驚きました。努力が報われた気持ちです。これからも壁にぶつかったり苦しいことがあったりするだろうけど、賞を励みにしてがんばりたい。
受賞インタビュー 早川千絵
監督賞 三宅唱 「ケイコ 目を澄ませて」
川井さん、月永雄太さんが一緒に受賞したことがうれしい。この映画は、モデルとなった小笠原恵子さんなくしてありえない。作れたことが人生にとって特別なことになった。
受賞インタビュー 三宅唱
外国映画ベストワン賞 「ベルファスト」ケネス・ブラナー監督
(ビデオメッセージ)大変光栄です。日本の観客は、他の国ではあまり評価されなかった私の「フランケンシュタイン」も支えてくれた。私が演出したオペラや演劇も受け入れてくれている。日本は何度も行っていて、大好きな国です。選んでくれた批評家や記者、そしてファンに感謝します。
男優助演賞 窪田正孝「ある男」
ここに立っているのは、人生で幸せな瞬間です。役を埋めすぎず、グレーゾーンを保ったまま、引き算のように芝居しました。これからはインプットを多くして、恥じらいや固執している観念を剝ぎ取って、その先になにがあるか見つめたい。スタッフ、キャストに感謝でいっぱいです。」
受賞インタビュー 窪田正孝
女優助演賞 伊東蒼「さがす」
2年前に撮影した映画で、それから注目されて見てもらったことを実感します。今日は少し、自分のことをほめてあげられたらと思います。これからも大好きなお芝居に関わっていきたい。
受賞インタビュー 伊東蒼
男優主演賞 沢田研二「土を喰らう十二ヵ月」
(ビデオメッセージ)こういう賞には縁がないと思っておりましたので、この年になっていただくと、まだがんばらないといけないなと思いました。やっぱりうれしいものです。功労賞的な意味合いもあるのかと思いますけれど、すごい俳優さんがいる中で選んでいただいたのは、せんえつだし恐れ多いし、そしてたいへんありがたい。
沢田研二のビデオメッセージ
女優主演賞 岸井ゆきの「ケイコ 目を澄ませて」
監督、録音、撮影の賞と一緒に受賞できたのが光栄です。情熱を注ぐ者にとって、勝ち負けではなく、継続して静かに愛することが重要だという映画だと思います。でも負けたくない気持ちはケイコにもあって、私の映画を思う気持ちと似ている。良い映画作りに関わりたいと思っていて、この映画でそれができたと思います。賞は認められた証しとして大切にしたい。
受賞インタビュー 岸井ゆきの
田中絹代賞 寺島しのぶ
毎日映コンは伝統と格式がある賞で、映画人が選ぶ本物の賞と思っています。2度女優主演賞をもらい、今回名誉ある賞で、身の引き締まる思いです。ハードルを上げてくださったことに感謝したい。
あいさつの後、出演した「あちらにいる鬼」の広木隆一監督がサプライズ登壇。「芝居に対してストレートで、役作りに苦しんでいる姿が魅力的」と広木監督。寺島は広木監督の「ヴァイブレータ」(2003年)に出演した時は失恋直後だったと明かし「一期一会を感じた。傷ついている心に塩を塗った人」と笑わせた。「同志のように感じています」
受賞インタビュー 寺島しのぶ
日本映画優秀賞 「夜明けまでバス停で」 高橋伴明監督らスタッフ17人が登壇
毎日映コンでは選考委員を務めたことがあって、その時に向こう側にいなければとつくづく思った。今回ノミネートされて、向こう側にいけたと驚きうれしかった。受賞で生涯現役を目指す気持ちになりました。(高橋)
受賞インタビュー 高橋伴明
日本映画大賞 「ケイコ 目を澄ませて」 三宅唱監督と他の受賞者、映画の原案「負けないで!」の著者で、主人公のモデルとなった小笠原恵子が登壇
たくさんのスタッフ、キャストと作った作品で、うれしいです。「負けないで!」を読んで小笠原さんがかっこいいと思った。生き方にほれました。(三宅)
小笠原は手話通訳を通して「何気ない日常の一つ一つが、大事なものとして静かに迫ってくるのが素晴らしいと感じた」と映画の感想を述べた。
受賞インタビュー 三宅唱