義理は美!Z世代が高倉健のまなざしを感じた「ザ・ヤクザ」
重たい映画を見たがらないZ世代もいる中で、私は演者のハッピーな感情が全く浮き彫りにならない映画を見ている。私がこの作品を見ている意義はなんなのだろう、と終始思考を巡らせる。正直、世のZ世代には最後まで見る勇気が出ないような映画だ。「エモ」とは遠くかけ離れているからだ。任俠(にんきょう)映画だからだ。「クズ男」や「シーシャ」などが題材となった人間のリアルを描いたものがZ世代に好まれる一方で、この作品は生死を彷徨(さまよい)いながら生きる人間のリアルな魂が描かれている。リアルというよりリアルすぎる。前回見た映画「ブラック・レイン」の影響で、高倉健の演技を見たいと思った私が選んだ作品は前回に続き、裏...
小田実里
2023.5.12