時代の目:「ヨーロッパ新世紀」 分断された世界の縮図
「4ヶ月、3週と2日」でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したルーマニアのクリスティアン・ムンジウ監督の新作。異国の出稼ぎ先で暴力沙汰を起こしたマティアスがトランシルバニア地方の村に帰ってくる。しかし妻は冷たく、幼い息子は森で何かを目撃して口がきけなくなっていた。マティアスは元恋人シーラに心の安らぎを求めるが、彼女が営むパン工場で問題が発生し……。 舞台となる寒村では多様なルーツの住民が暮らし、ルーマニア語、ハンガリー語、ドイツ語、英語などが飛び交う。この村は経済的に貧しく、働き手はよりよい賃金を求めて西ヨーロッパへ出稼ぎに行っている。 ムンジウ監督は、パン工場がアジア系労働者を雇ったこと...