毎日映コンの軌跡⑫ あこがれの技術賞 水準の高さと貢献度見極め
映画賞は数多くあれど、ほとんどが対象は作品、俳優とせいぜい監督、脚本まで。縁の下の力持ちたる技術者に目配りした賞は少ない。だから、毎日映コンの技術賞は「あこがれ」ともなる。 録音賞を3度受賞し、技術部門の選考委員も務めた紅谷愃一(べにたにけんいち)は、第23回(1968年度)、「黒部の太陽」で初受賞した。大映京都撮影所から日活に転じ、助手から技師に昇進して間もなくだった。黒部ダム建設現場の効果音と、その中でのセリフのやりとりなど、「音の処理を計算し整理することで、迫力あるドラマに仕上げた」と評価された。 紅谷は「当時技術者への賞は、毎日映コンしかなかった。いつか取りたいと思っていた」と当時...