「クライ・マッチョ」
1971年の監督デビュー作「恐怖のメロディ」から50年にあたるクリント・イーストウッドの新作だ。マイク(イーストウッド)はロデオ界の元スターで、今はテキサスで余生を送る孤独な男。恩義ある元雇い主から10代の息子を連れ戻すよう依頼された彼は、メキシコに旅立つ。 幾多の試練を経験してきた老人と少年が織りなすロードムービー。「センチメンタル・アドベンチャー」「グラン・トリノ」などの過去作をほうふつとさせる内容だが、ここには〝死〟を想起させる悲壮感はない。既視感のある物語とキャラクター、散漫で意外性のない脚本など難点はいくつもある。それでも老いた自分を虚飾なくさらけ出す、91歳の俳優イーストウッドの...