配信チェック:「地面師たち」 〝尺〟も〝ヤマ場〟も自在に
日本の地上波テレビ各局は、7月に始まった連続ドラマを放送している真っ最中だ。そんな中で今作は、同月下旬に全7話の配信がスタート。記者はテレビドラマの合間を縫って見始めたが、2日間で「一気見」した。地上波連ドラと横一線の「競争」に加わったとして、ひけを取らない。いや、トップ集団を走れる面白さと思う。 地面師とは、土地の所有者を装って金をだまし取る詐欺師のこと。辻本拓海(綾野剛)は地面師に家族の絆を引き裂かれた過去があるが、その道の大物、ハリソン山中(豊川悦司)の導きで詐欺集団の一員に。彼らは大手デベロッパー「石洋ハウス」の部長(山本耕史)らを標的に、100億円超が動く「商談」を持ちかけ……。 実在の会社と巨額詐欺事件がモデルで、地上波では避けられそうな暴力や性描写を含め、緊迫のシーンが続く。もう一つ、今作が計「7話」で、各話の時間にバラつきがある点も注目したい。民放の連ドラと言えば多くは10話前後で、放送時間も各話ほぼ同じ。作品の「ヤマ場」を効果的に設定できるのが、どちらなのかは明らかだ。今作の第6話が37分、最終話が1時間超である理由を考察しつつ見ると、さらに楽しめるのでは。 大根仁監督。ネットフリックスで独占配信中。(屋)