シネマの週末・チャートの裏側:戦争の傷痕にじむポワロ
ロシアのウクライナ侵攻開始から3日目に「ナイル殺人事件」を見た。冒頭シーンにドキッとした。第一次世界大戦真っただ中の欧州戦線だった。兵士たちが塹壕(ざんごう)の中を行き交う。その姿にウクライナの戦闘が重なる。短い時間ながら、正常な感覚では映画を見られなかった。 アガサ・クリスティー原作によるミステリー娯楽大作だ。映画化2作目だが、1979年正月映画の1作目に戦争の影はない。エジプトの旅情を存分に盛り込んだミステリーが、オールスターキャストで描かれた。当時、クリスティーファンや女性客を多く集めて大ヒットした。 もちろん今回も、旅情テイストと犯人捜しの過程が大きな魅力となる。ただ、冒頭シーンに...