「私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?」 権力と戦い続けた女性の実話
フランスの原子力発電会社「アレバ」(現オラノ)の労働組合代表を務めるモーリーン・カーニー(イザベル・ユペール)。従業員を守るために内部告発をした後、自宅で何者かに性的暴行を受ける事件が起こる。訴えたものの自作自演を疑われ、厳しい立場に追い込まれていく。権力と戦い続けた女性の実話。主演に、レイプ犯に復讐(ふくしゅう)を図る主人公を演じた「 エル ELLE 」をはじめ、タブーを恐れずに出演作を選んできたユペールを迎え、映画化した。 カーニーの毅然(きぜん)とした戦いが描かれる中、見ている自分も、被害者に対して〝らしく〟あることを求めているのでは?と試されるような瞬間が何度も訪れ、そうした姿勢はラストカットまで揺らぐことはない。複雑な後味は、ユペールがカーニーというキャラクターを英雄として演じるのではなく、複雑な内面を持つ一人の女性としてアプローチしていることに起因しているのではないだろうか。最後まで緊張の糸が緩むことのないサスペンスとしても見応えのある一本だ。ジャンポール・サロメ監督。2時間1分。東京・Bunkamuraル・シネマ渋谷宮下、大阪・シネ・リーブル梅田ほか。(細) ここに注目 当時のアレバCEOや閣僚らが全て実名で登場し、迫真性がある。「自由・平等・博愛」をうたう国で、権力に抗する女性が陰湿に攻撃される闇がしつこいほど描かれる。そうであるほど、カーニーの不屈の瞳が希望となって浮かび上がってくる。(坂)