「最後まで行く」
12月29日の夜。危篤の母の元へと車を走らせていた刑事の工藤(岡田准一)は、一人の青年をはね飛ばし、死なせてしまう。遺体をトランクに入れた工藤の携帯電話に届いたのは「お前は人を殺した。知っているぞ」というメッセージ。送り主は県警本部の矢崎(綾野剛)だった。 オリジナルは、フランスなどでもリメークされた韓国映画「最後まで行く」。日本版を「ヴィレッジ」をはじめ、公開作が相次ぐ藤井道人監督が手がけた。大筋はオリジナルをなぞりながら、土葬から火葬など細部を巧みに手直しして人間関係の描写もより濃厚に。何よりも社会の裏側でうごめく権力へのまなざしに、藤井監督らしさが光る。 スピード感のある緻密な脚本と...